籠の中の蛇

□一夜
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どういうことなのだろうか…

朝起きて学校行って帰ってご飯食べてお風呂入って寝たはず…
んで、またいつもと変わらない日常を送るはずだったのに、目が覚めたら見知った天井ではなく、知らない岩だらけの冷たい石の床に寝そべっていました。





…何処よここ…





きょろきょろとあたりを見渡しても薄暗い岸壁に囲まれた部屋で頭がパニックになってしまう。


「も、もしかして拉致…!?」


ど、どうしようどうしよう!?


何をするわけでもなくただ慌てているとカツンカツンと足音が聞こえてきて思わず身がすくんだ。
ギィと音をたてて入ってきたのは知らない不審なお兄さん?でした。
なぜ疑問形なのかは顔が見えないように布…?で覆っていて性別が判断しにくかったからだ。


「ジャーファル…仕事だ。立て。」

「…?」



ジャーファル…誰だ?


わけも分からずそのままでいるとスッと謎の覆面男が近づいてきた。
覆面男は袖からなにやら怪しげな鋭利な刃物を取り出したかと思うとその刃物を私の方へ向けて投げ放った。

あ、死んだ…とパニックしている頭の片隅で思ったと思ったらパシッと音がして、気が付けばその鋭利な刃物を素手でとっていた。
一般人の私にそんなのできるわけないのに、手に伝わるズキッとした痛みが夢ではなく現実なんだと実感させられる。


「ボケッとするな。行くぞ。」


覆面男は私が掴んでいた刃物を私から取り上げ、袖に戻すと足早に部屋の外に出ていく。
慌てて私も男の後をついて行くために立って走り出すが、ふと、何かに疑問を覚えた。


(この人私のことを誰かと勘違いしているのか…?)


ジャーファル、確かに私の前を行くこの人は私に向かってそう呼んだ。
ジャーファルという名前は聞き覚えがある。
某、魔法とかジンとか出てくるアラビアンな漫画に出てくるキャラクターの一人にその名前の人がいるけど…


(いやいや、それはないでしょ…あの人白髪で色白でそばかすあるし…私黒髪だから間違えるわけないでしょう…)


そもそもここが、んな二次元な世界であるはずがない。


そうやって納得させるように考えるも疑問は消えなかったし、むしろ、次々と思い浮かんでいった。


(でも、あの時男の人が刃物飛ばしてきたときなんか受け止めたし…)


遅い、とはけっして思えない早さの刃物をほぼ無意識に受け止めたことにも疑問が残る。
絶対に避けられないと確かに思ったのだ。
なのにこう、体が勝手に動いたそんな感覚で気がつけば刃物を受け止めていたんだ。


(私…いったいどうなってしまったんだ…)


トボトボ男の人の後を追いながら、自分の手を見つめた。

前を歩く男の人と同じように両腕にぐるぐると何重にも赤い紐が巻かれてズッシリと重い傷だらけの小さい手。








…ん?












「…小さい…?」



思わずぼそりと呟いてしまって、慌てて前を見るも、男の人には聞こえてなかったらしくホッと胸を撫で下ろす。

それに、目が覚めた時はパニック状態でわからなかったけれど、少しだけ落ち着いた今ならわかる。
発した声が明らかに自分のものとは全然違っていた。

歩いていると、キラリと光るものが見えてそれを拾ってみると傷がたくさんあって汚れが酷いがどうやら鏡のようなものだったので、それを使って自分の顔を覗いてみた。














鏡に写った自分の顔に発狂しそうになった。









ボサボサで無造作に伸びた白髪。

ぐるぐると顔に包帯を巻いて、そこからチラリと見えるそばかす。

随分と幼い風貌。




それは、漫画でみたことのある…












ジャーファルの幼少期の姿だった。






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