ダイヤのA

□五話
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そんなこんなで試合が始まった。
アタシ達は一塁ベンチ側に座る。


「後攻だね。」

「うん・・・ねえ、真月。」

「なに?」


アタシが見ると朱莉は眼を輝かせていた。
うわあ、なんだいきなり。


「倉持くんと話、できた!」

「よ、良かったねー・・・」


「うん!」と少し照れながら笑う朱莉。
そんな恋する朱莉がすごくキラキラしててとてもかわいく見えた。

自然に笑みが浮かんで前を見るとファーストには哲さんが。


「哲さんだあ・・・」


思っていた言葉が口に出てはっと口元を手で押さえる。
横目で朱莉を見るとニヤニヤしてた。


「哲也先輩がなあにー?」

「・・・なんでもねえよ。」

「嘘つきさーん。」


そう言ってケラケラと笑う朱莉。


「アタシの・・・憧れの先輩だよ。
 プレーでチームを引っ張る努力家のね。」


アタシが素直に告げると朱莉はふふっと笑った。
なんだよ。


「アンタがそんな人になることをアタシは願ってますよー。」

「ははっ任せとけ。」


そう話してる間に一回の表は終わってた。
はやっ!?

にしても――


「相手は守備がすごいって言われてるチーム・・・どうなるのかね。」

「大丈夫でしょー。」


うーんっと朱莉が体を伸ばす。


「青道は両方を平等に持つチーム。
 それに――」


バッターに立つのは


「よっしゃあ行くぜ!!」

「純先輩がまずいるわけだしね。」


そう言って朱莉は笑う。
まあ、それもそうか。
純さんは強肩強打。


この人が捕られることなんて―――


右中間にボールが吹っ飛んでいく。


やっぱりない。


あっという間に2塁まで走っていった。
なんなんだあの人ホント。


「あーいうの一人うちの部にも欲しいね。」

「全くだよね。」


そんな話をしてると次にバッターに現れたのは倉持だった。


「ほら、来たよ。
 想い人。」

「う、うるさい!」
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