テニスの王子様
□体温 ★
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負けた。
その時
いつもは大きく感じた背中も
一回り小さく見えた。
「……あぁ。日吉か」
無意識だった。
割れた硝子片に触るような手つきで
肩に触れていた。
触れる事で分かったのは
本当に僅かな震え。後悔。
何を言っていいのかも
何も分からないのに
勝手に触れるのは軽率だっただろうか。
けれど
そのまま溶けて消えてしまいそうで。
何故か放っておけなかった。
「お前らしくねぇじゃねぇか日吉…慰めてるつもりか?」
肩に乗せた手に
宍戸さんの手が重なって
体温とは真逆に
冷たい温度が伝わった。
「…まさか」
鼻で笑ってやると
乗せた手に痛いくらいの力が入った。