お前なんか嫌いだ

□認知してください
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朝起きたら、コイツがベッドの中に入っていた

「…フランス?」
「ん…ドイツ…?」

それは、柔らかい金髪をキラキラと朝日で照らし、起きるのを億劫そうに顔をしかめた
しかし、いつもと様子がちがう
アゴの髭はなくなり、青い目にはいつもより長くカールした睫毛が
そして小さい肩に華奢な手足
どう考えても、26歳の体ではない

「フランスか?」
「んー…うるさいなあ…」
「フランス?」
「そうだよ…見りゃわかんだろ…」
「…」

明らかに見てもわからないんだが
とりあえず事情聴取だ
フランスが二度寝しそうなので無理矢理布団を剥ぐ

「ちょっとドイツ!何すんのよ!」
「それはこっちの台詞だ、なぜお前がここにいる」

目の前の女の子(のようなフランス)は大きい目をパチクリさせ、平然と答えた

「だって一緒に寝たじゃん」
「…は?」
「いや、昨日一緒に寝たでしょ?大人な意味で」

と、目の前の子供は言いきる
…確かに、昨日はフランスを抱いた記憶があるな
よし、一つ問題解決だ
…しかし

「じゃあ、なぜお前は小さいんだ?」
「そりゃドイツに比べればね」
「いや、そうでなく、自分をよく見てみろ」

怪訝な顔をしながら言われた通りにする子供
その顔は一気に驚嘆の色を表し、血の気をなくしたところで洗面所へかけていく

『ふおおおぉぉぉぉぉ???!!!』

子供は、またしても走ってこちらに来た

「ドイツ?!なに?!なにこれえええぇ?!」
「わからん」
「お、お、俺、子供になってるみたいな感じになってる的な?!」

口調が香港だ
そんなに慌てるな、と震える小さな頭をなでてやる
すると、すぐに震えはおさまり、ある程度落ち着きをとりもどした

「…これ、なんだろ」
「さあ、大方イギリスの魔法か」
「あー、それあってるっぽい」

と、フランスはため息をついた
昨日はイギリスはいなかったが、アイツのことだ
遠隔操作くらいできそうだ
フランスは勝手の違う体をぎこちなく動かした

「うへぇ、気持ちわる」
「まあ、見た目10歳前後だからな」
「なあ、なんか服ないの?俺下着しかつけてないんだけど」

カボチャパンツをはいた目の前の子供は、ちょろちょろと動き出した
というか、なぜカボチャパンツなんだ
パンツがあるなら、他の服があってもいいんじゃないか
などと考えていると、フランスが「あったー」と言って、会議中着ていた青の軍服をとりだした
でかい気がするが…

「んー、腕そうとうまくんなきゃだめだね」
「Yシャツでもきるか?」
「ジャパニーズ KARESHATSUだね」
「か、かれしゃ…?」

「まあまあ」なんて言いながらによによとシャツを受けとる
うむ、いつもと違って可愛いげがあるな
いや、いつも可愛いが、今日は優雅さより可愛いさが目立つ
と、あどけない顔の少女(?)はこちらをみて笑った

「なぁに?ドイツ?」
「ああ、いや」
「お兄さんそんなに可愛い?」
「ああ、そうだな」
「…お兄さん、お前のそういうとこだいっっっきらい!」

そういって耳を赤くした子供はそそくさとリビングへ逃げていく
恥ずかしいなら恥ずかしいと言えば良いのに



『ぎゃあああああああぁぁ!!!』
フランスの声だ
やれやれ、今度はなんだ

リビングに入ると、フランスがペットの犬に詰め寄られていた

「ちょお、しっしっ!」
「わふっ!」
「のはぁ?!」

たわむれているように見えるが、大型犬に襲われているようにも見える
恐らくフランスにとっては後者だろう
仕方ない、引きはなしてやるか

「ほらほら、あっちにいってろ」
「わほわほ!」

犬たちはご機嫌にかけていった
残ったフランスは怯えたような顔で座り込んでいた
そんなに犬がこわいだろうか?

「だ、大丈夫か?」
「ぅ…ど、どいつの犬嫌い…」

ああ、確かコイツは俺の犬が夢に出るくらいには犬が(俺の限定だろうが)怖かったか
目の前で音もなく泣くフランス

「おい、泣くな」
「うううるさい…な、泣いてないぞ…」

どこのツンデレだ
ではなく、少し怒ってるようだ
どう考えても俺のせいではないが…

「悪い、大丈夫か?」
「うっ…ひっく…」
「よしよし」

小さくなったフランスを抱きかかえてソファへ運ぶ
少し力を入れたら折れそうな体をゆっくりとソファに下ろしてやる、と

「どいつ…」

[ふばっ!]
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