お前なんか嫌いだ

□壊して
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「フランス?」


世界会議がいつものように何も決まらず終わり、いつものよう一緒に帰ろうとフランスを探す
しかし、今日はカフェにもいなかった
女性職員を口説いてるのかとおもってそれらしい所を探し回ったが見つからない

「ああ、日本、フランスを見なかったか?」
「フランスさんなら、先ほど教会に入って行きましたけど…」
「教会?」





日本のいう教会に来てみた
がらんとした教会は静かで、人がいない
とおもったら、長椅子の端のほうに見慣れた金髪がいた

「フランス」
「…ドイツ」

フランスはこちらを見ずに俯いている
祈りはとうに終わったようで、聖書やらが鞄に入っている

「どうしたんだ?」
「…ごめん、ドイツ。今日は先に帰って」
「?」

フランスの声は何かを堪えてるようだった
小さく震えていて、さらさらした金髪が揺れる

「フランス…?」
「…ほっといて…」
「そういうわけにはいかんだろ、随分辛そうだが」
「…今日は…あの子の…」

フランスはそこまでいってやめた
流石に俺でもわかった
今日は、フランスの、Janne Da Arcの命日だ

「フランス…」
「…ドイツ…ドイツ、俺っ………!」

フランスは堪えていたものが爆発したように苦しそうに話始めた

「俺、俺が、あの子を殺したんだっ…まだ小さい女の子なのに、普通の子なのに、女神や聖女だなんて…俺が言ったから、…だから、戦いなんかに巻き込まれて…わかってたのに…!」
「…」
「あの子は、俺と関わんなきゃ幸せになれた…可愛くて優しくて素直な女の子だったのに……俺が、殺したんだ…Janne…Pardon…」

フランスは音もなく泣きはじめた
ずっと我慢してたのだろう、涙がボロボロとこぼれ落ちる

「俺が幸せになる資格なんてない…俺が、お前に愛される資格なんて…あの子が幸せになれなかったのに、どうして俺が許されるんだ…?…ごめん、ごめんよ……」
「…フランス、違うぞ」
「何がだよ…俺のせいだ…」
「違う、お前が傷付く必要はない」

フランスの顔を両手でおおい、こちらを向かせる
その瞳は哀しみで彩られていた

「お前は彼女を大切にしていた、彼女もきっと幸せだった」
「違う…あの子は…」
「幸せだったさ、お前があんなに一生懸命に可愛がってやったやつがいたか?」
「…」
「…あの子も、お前が幸せになることを望んでいるはずだ」
「…ドイツ…」

また泣きはじめた
強く抱き締めてやる

「ごめん…ごめんなさい…ごめん、ごめんよ……」
「フランス、謝るな…彼女も嫌がる」
「ドイツ…悲しいよ…嫌だよ、もう誰も消えてほしくないよ…」
「…そうだな」

泣きじゃくるフランスの額にキスをしてやる
フランスはまだ哀しそうに泣いている
好きなだけ泣けばいい、今日はそれでいい
彼女も、今日くらいは許してくれるはずだ


俺からできることは、彼女の望み通りフランスを幸せにしてやること
だから、たくさん愛してやるんだ

お前の哀しみは癒えない
だから俺も一緒に哀しんでやるよ
二人でわけあうなら、いいだろ?

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