お前なんか嫌いだ

□愛したっていいじゃないか
1ページ/3ページ

ずっと一人で誰にも優しくされないなんて、寂しいよね?



俺の可愛い隣人




−−−−−




今日はイギリスで会議があり、ついさっき…午後10時に解散という珍しいケースだ
普段なら会議が崩壊してすぐにおわったりするのだが、今回の議題は早急に解決せざるをえないものだったらしくドイツが帰してくれなかった
おかげで首こっちゃったよ、疲れは美容によくないのに


「…おい」
「ん?」
「なに黙りこんでんだよ」


と、隣を歩いていたイギリスがご機嫌ななめに吐き捨てた
ここは英国だし、イギリスの家に泊めてもらおうと一緒に帰っていたのだ


「ごめんごめん、何の話だっけ?」
「家についたら何呑むかだよ」
「ああ、そうか」


そういえばついさっきまで酒の話をしていたっけ
美味しいワインが手に入っただのたまにはエールもいいだの俺はロゼも呑みたいだの


「で、何がいいんだよ?まさか全部開けるつもりかよ」
「いやいや、そんなわけないじゃない。んー…お前はなにをすすめるの?」
「俺?…ワインかな」
「じゃあそうしようか、俺はなんでも呑みたいし」
「珍しいな、お前が酒を選り好まないとか」
「今日はそういう気分なの」


確かに普段なら「今日は絶対ワイン」だのいったりするけども、今回は本当になんでも呑める
イギリスと一緒にいて気分が高揚しているらしい


「あ、ついたらシャワーかして?」
「ああ、リンスは無いけどな」
「えっ?!」
「当たり前だろ、男の家にあるかよ」
「ちょ、コンビニよって買ってもいい?」
「そんなに必要かよ?」
「髪はお兄さんの命だからね☆」


そうだ、このさらさら感と輝きを失ってはいきる気力すらわかない
ボサボサのキューティクル死滅した俺なんて考えられないしね
「めんどくせぇ」と吐き捨てるイギリス、そもそもお前だってこの髪が好きなんだからがっかりするだろうが







[ザアアアアア…]


イギリスの家につくなりシャワーに入る
買ったリンスを開けてみる


「…うへぇ」


やはり普段のものとちがい、安物の香りがする
質は、悪いものではないがお兄さんのキューティクルが泣いてる
…帰ったら一番にシャワーを浴びよう




「…」
「イギリスー、お前の家ドライヤーも無いのかよ?!」
「あ?あるわけないだろ」


しれっと答える眉毛ちゃん
ちなみに、お兄さんは今タオルで優しく頭を拭いています


「もータオルドライじゃゴワゴワしちゃうじゃん」
「お前は女か」
「はっ、髪質はよのマドモワゼル以上よ」
「タチわりぃな」


と、ワインの瓶を豪快に開けるイギリス
タチ悪いのはお前だよとか思いながら隣に座った


「ねぇ、この香りどう思う?」
「あ?」


かぎやすいように頭を差し出す
まだ濡れている髪は香りが強く、火照った顔にはりついて若干うっとうしい


「…」
「どう?」
「確かに、いつもと違う。これ香り強いな」
「でしょー?上品じゃないよね」
「トイレの芳香剤みてぇ」
「酷っ?!」


鼻をすんすんならしてかおっているイギリスは変な顔をしている
やっぱり普段のが好きなのかな?
と、ワインをグラスに注いでくれる


「めるし」
「発音くらいちゃんとしろよ」
「えー?こんな甘えたお兄さん見れるのって稀なのよ?もっと喜ぶか見とれるかしてよ〜」
「最後のはねぇよ」


グラスをチンッとならしあって呑む
…うん、美味しい
リンスで馬鹿になった鼻に独特の香りがとおる


「これ美味しいね」
「当たり前だろ」
「あ、made in France♪」
「なんでその英語は読めるんだよ」
「なあに?坊っちゃんは俺がいない間はフランス産のワインでお兄さん思い出してるの?」
「ちげぇよバーカ」


ちょっ、イギリスさん
お顔が赤いですよ(笑)
へー、イギリスも可愛いよねぇ、こんな健気なとこあるんだから


「ね、イギリス…フランス産じゃなくても、ワイン呑んだら思い出すようにしてあげようか?」
「は?」


グラスに残ったワインを全て口に流し込む
それを口に含んだまま、イギリスの口を塞いでやった


「んふっ…?!///」
次へ

[戻る]
[TOPへ]

[しおり]






カスタマイズ