20000打

□Events of the Rainy season
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「…そういえば、今日はお前の誕生日だったな」



朝食の途中、ふと思い出したそれ。

言われた本人は暫く考え込み、思い出したかのように手を叩いた。



『そーいやそーだった!
わぉ!Happy Birthday自分!!』

「他の事はいらん事まで覚えているのに、自分の誕生日を覚えていないのは何故だ」

『さぁー?』

「ふん、まぁいい。

何か欲しいものはあるか?
祝いに買ってやる」

『うーん、欲しいものねぇ…』



コイツは普段から何も欲しがらない。
欲しがるとしても、食料品とか、生活に欠かせないものばかりだ。

たまに違うものを欲しがったりするが、それは全て自分ではなく、主に俺のためのものになる。

俺も、認めたくはないがコイツを愛している。
男としては、少しくらいそういう我が儘を言ってほしいと思うのだが…。



『…あ!
欲しいのあるよ!!』

「それは、ちゃんと自分のためのものだろうな?
食料品とかではなく」

『うん!
すっげー自分のためのものだよ!!』



ほう、珍しいこともあるものだ。

初めての事に少し嬉しく思いつつも、表情には出さずに聞いてみた。




『あのね、実はもうそれ予約してあるんだー』

「そうか。
ならば、雨も小雨になった事だ、今から買いに行くか?」

『んー…カノンとのデートにもなるし、すっっっっごく行きたいけど…』

「どうした」

『今日はやらなきゃいけないことがたくさんあるから行けないの』

「では、違う日に」

『えー!!
今日じゃなきゃヤダ!!
だから、カノン買ってきてv』



笑顔でそう言われてしまえば、俺は頷くしかない。
これが惚れた弱みというものか…


朝食を終え、身支度を整えたと同時に、店のメモと傘を持たされ宮を追い出された。

よく分からない行動に首を傾げつつも、俺は渡されたメモを見てその場所へと向かった。




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