20000打

□喧嘩の後の
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『シオンのばかぁぁぁあ!!』




ある日のおやつの時間に起きた悲劇。

私は叫びながらリビングを飛び出した。


こうなった理由はほんの数分前にある。
少し遡ってみよう。









『ホントだっていいのー戻れないのー私はまだふーふふふん♪』

「おや、やけにご機嫌だね。
何かいい事でもあった?」

『聞いておくれよディーテ!
ずっと狙ってた大人気すぎて手に入らなかったプリンがやっと一つだけ入手できたんだぁぁあ!!
ファーーーーーー!!』

「前からずっと食べたがってたあれ?
よかったね」

『えっへっへっー。
みんなには内緒だよ?
ディーテにも少し分けてあげるね!』

「それは嬉しいな」



長い間夢見ていた幻のプリン。
その名の由来は、作られる時間、曜日が全く決まっていないのでいつもゲリラ販売なのだ。

何とか手に入れようと何度も何度も買いに行ったのだが、毎回販売されていないか、販売されてても売り切れてしまっているの二択にしか出会えない。
くぅっ…何度涙を飲んだことか!

それが昨日、ゴッド猫野がなんと買えたと言って、一つ分けてくれたのだ。

「お前、前からすげー食べたいとか言ってたろ?
その、たまたま買えたからやるよ」

わざわざ夜に届けてくれるなんて…!
アンタすげーマジで神だよ猫野…!!



『さーて!
じゃ、早速…


…あるぇー?』

「どうしたの?」

『うん。
奥に入れておいた筈なのに無いの。
おっかしいなー?』



冷蔵庫をくまなく探してみるも、プリンの姿は見えない。

えー?
本当にどこ行っちゃった?



『なんでないのー!?
私のプリーン!!』

「煩いな。
何を騒いでいるのだ」

『あ、シオン。
私の…』



すみませんシオンさん。

これは私の錯覚であってほしいのですが。



『しおーん?

さっきから食べてるそれ。
もしかしてプリン?』

「見れば分かるだろう」

『そっかー。

じゃあさ、そのプリンはこっちのプリンじゃないやつだよね?』

「プッチンではないな。
奥の方にあった」




つ ま り は 。



『それ私のぷりぃぃぃいん!!』



これだけは食べられないように奥の方に隠したのにぃぃい!

叫ぶ中、食べた本人は迷惑そうに表情を歪めている。

やばい、これはやばい。



『しぃぃおぉぉんー!!』

「プリン一つで怒るな。
まだプッチンが残っているだろう」

『プッチンとそれは違うの!!
なんでそれ食べちゃったのー!!』

「奥の方に隠されていたら気になるに決まっている」



ぬぬぬ…!!
そーゆーもんなの!?

いかん、私の何かがプッチンしそうだ。



「ああそうだ。
名無しさんよ」

『ナンデスカ』

「これは実に美味かった。
また買ってきてくれ」





プッチン☆



笑顔でそう告げた彼に私はもう限界でした。



『シオンのばかぁぁぁあ!!』



これで冒頭に戻る。


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