番外編

□Strange Story
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パタン



『面白かった!
うん、実に面白い』



本を置き、椅子から立ち上がり手を上に伸ばす。
あー、背筋が伸びて気持ちいいわー。

時刻は明日が今日になって二時間経ったところ。
碧斗は友達から借りた本を読んでいた。
世間の話題になりつつある本で、タイトルは【奇妙な物語】。

タイトルだけで見ると某番組を思い浮かべるが、これは紛れもない恋愛小説だ。
しかも純愛もの。

平々凡々なヒロインがある日突然不思議な出会いをして、そこから何か知らないけど恋が始まるとかなんとか。

もうね、途中が泣ける泣ける。
でも、最後はヒロインちゃんが幸せになれたのでよかった!



『私も奇妙な体験してみたいなぁ…』



と思ったけど、現在進行形で体験してるもんね。
みんな、もう寝たかな?

リビングの電気を消して、そっと階段を上がる。
自室の扉を開けると、みんなの気持ちよさそうな寝息が聞こえた。
よしよし、いい夢みろよ!

床で寝ているペット達を踏まないようによけながら、ご丁寧に私が寝るスペースだけが空けられているベッドに潜り込み欠伸を一つして目を閉じた。
あ、本片付けてないや。

…明日片付ければいっか。
おやすみなさーい。















翌日




ピピバンッピピピベシッピピカチッ



んー…朝かぁ…
遅くまで起きてたからまだ眠たい…

眠たい目を擦り、寝ぼけ眼で時計を見た。



『なんだ、まだ10時じゃん…




10時!?』



完全に覚めた目で見ても時計の短針は10を指している。
うっわ、目覚ましセットすんの思いっきり間違えた!!;

辺りを見渡しても、既にみんなは起きているのか部屋には誰もいない。

デっちゃんに叱られる!!
ベッドから飛び起きドアを開けようとした。

のだが。



バンッ



お約束の壁ドンならぬドアバンの洗礼を受けました。

おーいて、そのうち鼻がなくなるんじゃないか私。
顔を覆ってしゃがみこむ。
おかげでさらにお目覚めパッチリですよ。




「すまん碧斗大丈夫か!?;;」



ドアバンした本人がしゃがみこむ私に近づき背中を撫でている。

うーん、背中は痛くないから大丈夫w

撫でていた手が額に触れた。
ひんやり冷たくて気持ちがいい。
この手はカミュかな?

一先ずお礼を言おうと覆っていた手をどけて顔を上げた。



『カミュ』



目の前にいたのは心配そうに私を見ているカミュ。

ニコリと笑い、おはようと挨拶をする。



『カミュおはよ!
ごめんね寝坊しちゃった…』

「おはよう碧斗!!
すまない、もう痛くないか?」






…うん?

待て待て、覚めたと見せかけて実はまだ目覚めていないのかな私は。
そうに違いない。
だってカミュがいつもより元気というか、クールの面影が何故か見えない。

自問自答をしている最中、カミュが私に抱きつきほっぺにちゅーをした。


…な ん だ っ て ! ?



カミュは首元に擦り寄り喉を鳴らす。
か、かかかかカミュさん?



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