番外編

□やってみよう企画
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やってみよう企画


夢主in聖域で、なんか巻き込まれた夢主がLCの世界で頑張ってみる話















「げ、しまった」


執務室で発せられた声。
どうやら、デスマスクが巨蟹宮の自室に必要な書類を置いてきてしまったようだ。

とりにいかなくてはいけないのだが、すこぶる面倒。
ただでさえ眠くてかったるいのに、距離の離れた自宮まで行きたくないのが心境である。


「ちっ、ツイてねぇ」


背もたれにもたれ項垂れると、サガの眉間にシワが刻まれた。


「デスマスク、遊んでいる暇があるのならば腕を動かせ。
ただでさえ年末で忙しいというのに」

「おー怖。
必要な書類を部屋に置いてきちまったから出来ねーんだよ」

「ならば、今すぐにでも取りに行け!!」

「めんどくせぇ」


サガの説教は右から左へ抜けていく。
どーすっかな。

ふと、デスマスクは思い出す。
ニヤリと、彼特有のニヒルな笑みを浮かべた。


「貴様、私の目の前でサボろうとするとはいい度胸だ…」

「サボりじゃねーよ。

…おう、俺だ」


どこかにかけたらしく、通話を始めた彼に、サガは溜め息をついた。

その様子を横目で見ながら、同じく執務にあたっていたアルデバランはまたかと苦笑する。
彼はデスマスクが誰にかけているのか知っているからだ。


「アイツは誰にかけているんだ?」

「恐らく碧斗だろうな」

「何!?」


アイオリアは音を立てて立ち上がるが、サガの殺意の篭った視線に大人しく座りなおした。
逆燐に触れぬ様、小声でアルデバランと会話を続ける。


「どういうことだ?」

「うむ、順番が回って、今彼女は巨蟹宮に住んでいるだろう?」

「ああ…」

「ほら、碧斗は知っての通り世話好きだ。
デスマスクは彼女に携帯を持たせて、忘れ物などをよく届けさせているのだ」

「何だと!?」

「アイオリア」


サガの視線がさらに鋭くなる。
一つ咳払いをしたところでデスマスクが通話を終えた。

すかさずアイオリアがデスマスクに突っかかっていった。


「おい、今の電話の相手は碧斗か?」

「あ?
そうだったらなんだってんだよ」

「貴様ぁぁあ!!
己が楽をしたいが為に女性を、碧斗の優しさを利用するなど…!!

もはや男として認めん!
そこになおれデスマスク!!」

「うるせぇよライオンちゃん。
無理には頼んでねぇし、碧斗自身も持ってきてくれるって言ってんだからいいだろうが」

「デスマスク…!!」

「…今の話は本当か?」


抑揚のない、酷く冷めた声で言葉を紡いだのはサガである。
心なしか、うっすら髪の色が黒く変わってきているような…。

アイオリアが肯定すると、サガはゆっくりとデスマスクを見やった。


「ま、待てサガ!
碧斗は…」

「そんなに仕事がしたくないのならば、誰の邪魔にもならぬよう異次元へ飛んでゆくがいい!!」

「こんなところで技を出すな!
アイオリア、書類の避難だ!」

「駄目だ、間に合わん!!」

「異次元へ飛んでいけ!
アナザーディメンショ…」

『失礼します!
デっちゃんったら、忘れ物するなんてお間抜けさんだなぁ』

「「あ"」」

「碧斗、そこよけろ!!;」

『え、なに…

ちょ、無理無理無理無理!!
よけろったってどうやっぎゃぁぁぁあ!!?』


発動されたアナザーディメンションを止めることはできず、なんとも運の悪いタイミングで部屋に入ってきた碧斗は技の餌食に。

慌てて救いにかかろうとしたが、時すでに遅し。
碧斗は技に飲まれてしまった。


その場には、サガの崩れ落ちる音だけが虚しく響いた。




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