白銀の月
□B.U.T
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『そろそろ終わりにしよう。もういいだろう?』
ナナは鞘を少し離れた所に投げ捨てた。
「何言ってんだ!まだまだこれからだ!」
ルフィはやる気マンマンでナナの様子をうかがっている。
『いや、もうお遊びはおしまいだ。』
そう言うと、あろうことかナナは自分の刀で自分の腕を切った。
『‥‥ッ!!』
「!?おい、何してんだ!痛そうな事すんなよ!!」
ナナは左腕に刀を滑らせ、5cm ほどの傷を作った。
『‥‥ふぅ。このくらいでいいか。』
ナナは傷口から溢れ出す血を自分の刀に付け始めた。
刀が約半分ほど真っ赤に染まると、ナナは傷口から溢れ出す血はそのままで、ルフィの方に刀先を向けた。
「おい、ちょっと待ってやるから、その傷どうにかしろよっ。」
『‥ああ、お前を倒してからな。』
ナナは血のついた刀をなでるように触り、フッと息を吹きかけた。
『炎(ファイヤー)』
すると、刀の血のついた部分から、突然炎が立ち上った。
「!?火がついた!?」
ナナはその刀をルフィに向かって振り下ろす。
風に当たるたび、炎の威力は強くなっていく。
『どうした、麦わら!逃げてばかりだと勝てねぇぞ!!』
「くそっ、火のでる刀なんて、聞いたことねェよ!困ったなぁ‥。変に手出すと斬られるし、火はあっちぃし。」
そんな事はお構いなしに、ルフィに向かって刀を振り下ろす。
『‥‥ちこまか逃げんな。』
避けてばかりのルフィにしびれを切らしたナナは、いまだに血が流れ出ている左腕にも息を吹きかけた。
すると、ナナの左腕は炎に包まれた。
「えっ!?エースと同じ技!?」
『エース‥、‥‥火拳の事か?』
「うん、エースも同じように体から火を出してた!」
体から火か‥。火拳は、メラメラの実の能力者か‥?
『まあ、そんな事は今はどうでもいい‥。』
ナナは右手に持っている火のついた刀、左手の炎でルフィを追い詰める。
『いい加減にしな、麦わら!』
「うるせェ!ゴムゴムのピストル!」
ルフィがナナのお腹を目掛けて伸ばした腕を、火のついている左手で掴んだ。
「っあっちぃ!!離せ、このっ!!」
ルフィが必死にもがくが火が熱く、抵抗もままならない。
ナナは腕を掴んでいた手を、ルフィの首元に持っていく。
「ぐぇっ!!熱いし苦しい!」
『安心しろ、殺しはしない。』
ナナはルフィの首を掴んだまま、ルフィを地面に押し倒し、地面に生えている草に向かい息を吹きかけた。
すると葉はどんどん伸びて、ルフィの手足に絡みついた。
ルフィは完全に体の自由を奪われ、抵抗する事も出来なくなった。
ナナは何のためらいもなく、刀先をルフィに向けた。
「っ!?やめろ!‥っ殺さないって言ってただろ‥っ!?」
少し涙目になりかけているルフィの叫びを聞くと、ナナは不適な笑みを浮かべ、刀を思いっきり垂直にぶっさした。