白銀の月
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ーシャボンディ諸島一番GR 人間(ヒューマン)オークション会場
『…胸くそ悪いな…』
ナナがオークション会場につくと、既に多くの人が集まっていた。
高そうなドレスやスーツに身を包んだ男女が、吸い込まれるように建物の中に入っていく。
ナナはマントとフードをしっかり体に纏い、中に入っていく。
『人がこんなに集まってる…』
会場は既に奴隷目当ての人間でいっぱいだった。
「天竜人……!奴隷に人間屋…」
建物の入り口に寄りかかっていると、誰かの声が聞こえた。
声のする方を見ると、それは探していた人物だった。
『ユースタス・“キャプテン”・キッド。11人の超新星の中で一番懸賞金が高い奴か…』
そちらをじっと見つめていると、キッドの仲間のキラーが何かをキッドの耳元で囁いた。
すると、キッドがすかさずこちらを見て、歩み寄ってきた。
「よぉ…。月光ナナ。」
『意外だな。私の名前を知ってたか。』
「そりゃあな。賞金稼ぎのくせに、首に懸賞金が掛かってるなんて野郎だ。」
『…ひでぇ言い方してくれんなぁ。』
「…女のくせに口が悪いことは知らなかったがな。」
キッドとの会話を耳に会場を見渡してると、見覚えのある帽子があった。
『あれは…トラファルガー・ロー。』
「あぁ?」
『北の海出身の、死の外科医だ。ずいぶん悪ぃ噂を聞いてる。』
ブツブツ噂をしていると、こちらの会話が聞こえたのか、不意にトラファルガーが振り返った。
そして、人差し指を立て、不気味な笑みを浮かべてまた前を向いた。
「行儀も悪ぃな…」
キッドと別れ、また壁に寄りかかっていると、オークションの開催式が始まった。
『歓声なんか上げやかって、居心地悪ぃな…。』
ここで奴隷が買われていくのを見ていたくないと思ったナナは、壁に寄りかかったままうたた寝を始めた。