短編

□桜の木の下で
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STを終えた俺は、
教室を飛び出した。

廊下で何回も
人とぶつかりそうになったけど
そんなこと、どうでもいい。


「春さんっ…」


ーーー入学式の日ーーー

頭の中で、春さんの
言葉を思い出す。

この一年、何回思い出したかも
分からないくらい
思い出した、あの約束。

ーーーSTが終わった後ーーー

一年経った今までも、
鮮明に思い出せる
あのときの、春さんの
声と表情。

学校を出て街中を走る。

もっと速く走れたらいいのに

ーーーこの公園の桜の木の下でーーー

やっと公園が見えてきた。

もうすぐ、春さんに
会える!


公園に入って、
一際大きい桜の木を見る。

木の幹に寄りかかるようにして
立っている人影。

俺はその人に、駆け寄る。

「春さんっ!」

「…赤也」

俺を見て微笑んだ春さん。

駆け寄った勢いのまま、
抱きついた。

「春さん、俺
やっと追い付いたッス!」

「赤也も今日から、
高校生だね!」

また、一緒に帰ったり
弁当を食べたり、
勉強したり出来るんだ。

そう思うと、すんげえ嬉しい。

今日、一番
春さんに伝えたかった
事を口にする。

「春…好きだぜ…」

改めて、思いを伝えた。

「赤也のくせに、
呼び捨てなんて生意気っ」

春は、そう笑って言って
俺の頬にキスをして

「けど、そんな赤也が好き」


って、言った。


【桜の木の下で】
これからどうする?
なんか食べに行きたいッス。
じゃあ、なんか作ってあげる!
マジっスか!?
うん、ほら行こ?


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