短編

□息抜きしようよ
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「ねえ、赤也」

「なんだよ」

あらら、なんか不機嫌。



先輩たちが引退して
赤也が部長になり、
レギュラーのメンバーも
赤也以外は全員変わった。

赤也の仕切りは、
まだまだで

どこかみんな不安気。


先輩たちも、
心配してくれてるのか
よく部活に、顔を出して
くれるけど。

最近は、
私が来ないで下さい。
と言って、来ないでもらっている。

理由は、赤也の気持ちを考えて。

先輩達が来ると、
嬉しそうで練習も
いつもより進みがいいのだけど、

部活後や、次の日に
物凄く落ち込んでいる。


赤也が部長を
やれるようになるまで
先輩たちを、頼っちゃダメだ。

今は…今が
赤也の頑張り所なんだ。



なんだけど、
日をおうごとに
不機嫌になっていく赤也。

部活の雰囲気も悪い。

なんとかしないと
今後に差し支える。

「今日、部活出来ないって
顧問が言ってた」

「ふーん…」

前までなら、残念がってたのに
今日は、安堵の色が見える。


「部活無くなっちゃったし、
遊びに行かない?」

「はっ?」

「決定事項だから!
放課後、昇降口ねー」

じゃっ、と行って去る。





放課後

「どこ行く気だよ」

昇降口で出会った赤也は、
休み時間に会ったときより
不機嫌だった。

「どこって、そりゃあー」




赤也を連れて来たのは、
ストテニ。

「なんでここなんだよ」

「前に約束したでしょ、
テニス教えてくれるって!」

赤也は、舌打ちをして
面倒臭そうにしながらも
教えてくれた。

とってもたどたどしかったけど、
なんとなく伝わって来た。



日も落ちて来た頃、
そろそろ帰ろうかと
思っていたら、赤也が

「今日は、ありがとな。
おかげで色々思い出せた!」

赤也の顔は
スッキリしていて
ひさびさに満面の笑みを見た。

赤也には、この表情が似合う。

「こっちこそ、ありがと。
テニスってやるのも楽しいね」

世間話をしながら、
道を歩く。

「じゃあね、また明日!」

「おう、明日なー」

道を曲がろとしたら、

「春!」

赤也に呼び止められた。

振り向きながら、
何?と聞くと

「一緒に優勝目指そうな!」

「うん!」

そう言った赤也は、
恥ずかしかったのか
走って去って行った。


【息抜きしようよ】
明日からまた頑張ろうね。

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