短編

□愛の告白
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 譲が、私を見てないのなんて最初から知っていた。


 「名無し、まだ先輩は起きてないのか?」


 いつもそう。貴方の一番はいつだって望美ちゃん。


 「望美ちゃんなら、九郎さんと朝稽古するって」

 「そうか。こっちの世界だと、先輩は早起きみたいだな」


 酷い人。私が目の前に居ても、する話は望美ちゃんの話ばかり。


 「じゃあ私、景時さんに用事があるから…」

 「景時さんなら、庭で洗濯の支度してたぞ」

 「ありがとう」


 すっと譲の横をすり抜けて庭に向かう。譲が、望美ちゃんの為に植えた花たちが咲きそろった庭へ。


 「………」


 源氏と平家が和平を結んで数ヶ月。年を越え、春が来た。
 京も怨霊の脅威が減り、そろそろ現代へ帰れるだろう。


 「かっげとっきさん!」

 「あれ〜?どしたの、名無しちゃん。望美ちゃんや九郎と稽古に行ったのかと思ったのに」

 「景時さんにお願いがあって」


 この世界に来てから開花した私の陰陽術の才能。


 「何かな?俺で力になれること?」

 「陰陽術の事で少し、聴きたいことがあって」


 最後くらい、憎らしい演出の一つもしてやったって罰は当たらないでしょう?

 
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