普通の小説

□愛しい風
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その日、サッカーグラウンドが整備で使えなく皆も用事で天馬以外は河川敷にいなかった。一度、家には戻ってから来た天馬のその手にはサッカーボール以外にも大きな風呂敷に包まれた物を持っていた。
その風呂敷をベンチに置きコーンを準備してドリブルの練習を始めたのだった、コーンを避けて右に左に…
何回か往復した後、その勢いに乗せてゴールポストに狙いを定めてシュートを放った。ボールはゴールの真ん中に吸い込まれるように入った

「やった!」

前は外すことが多かったが、最近はゴールする事が多くなった。天馬はそのボールを手に持ちベンチの風呂敷が置いてある横に座り、ボールを足下に置くと風呂敷を広げた。
包まれていた物は三味線に似た沖縄の伝統楽器、三線だった。
天馬は三線を抱えバチを取り出し弦に添えた。そして…
ペンッ…
三線特有の美しい音が響いた。
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