Tk物語

□願い事
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満天の星空の下、灯りが一つ…その灯りは風が吹く度、ゆらゆら揺れる
揺れる灯り…焚き火の灯りが照らすは若草色の髪の少年




「……」




少年は無言のまま焚き火を眺めており、火が小さくなれば木をくべる
くべればカランと微かに音が立つ
その微かな音のせいかどうか、焚き火の周りで眠っていた一人が薄く目を開け、体を起こす




「…あ、起こしちゃったか。ゴメン」




「うぅん、違うわ。…リウ・シエン、大丈夫?」




起きたのは亜麻色の髪をした少女で、起こしてしまったかと少年は詫びるが少女は緩く首を振り自らが名を呼んだ少年、リウに問う




「うん、大丈夫。オレは大丈夫だからキミはもう一回寝ていいよ、レン・リイン」




リウは問いかけてきた少女、レン・リインに安心する様に言うと寝る様促す




「えぇ、わかったわ…と言えればいいんだけど目が覚めちゃったみたいで暫くは無理だと思うわ」




「…ぷ、しょうがないなぁ」




「ふふ……ねぇ、リウ・シエン?」




「ん?」




「…貴方の、リウ・シエンの傍に行ってもいい?」




「勿論。拒む理由なんか何にもないもん」




レン・リインが問い掛けた言葉を聞くとリウはドキリと鼓動が早まるのを感じる。リウの優しい言葉にレン・リインは微笑むとゆっくりリウの隣へと寄って行く。寄って行って、改めてリウの方を見る
焚き火の灯りが照らすリウの横顔はとても綺麗で…でも、放っておいたら消えていなくなってしまいそうで……
レン・リインはそっとリウに寄りかかる。平然としているがレン・リインのその行動によりリウの鼓動はより一層早まる
リウから「どうしたの?」と訊かれレン・リインは「うぅん…」と返し、そっと目を閉じる。そうしたら「そう」と一言だけ返ってきて、内心落ち着かないリウはおもむろに夜空を見上げる




「……レン・リイン」




「?何、リウ・シエン?」




「空、見て」




「空?………!」




リウに名を呼ばれた為、レン・リインは閉じた目を開ける。リウの一言に何かと思い空を見上げれば、視界に映ったのは降り注ぐ流星群




「…綺麗…。…―あ………………これで良かったはず」








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