Tk物語

□募る想い
1ページ/3ページ














「レン・リインが好きだ」




「私もシャム・ロウの事好きよ」




シャム・ロウの言葉ににっこりとした笑みを浮かべてレン・リインは答えるが、シャム・ロウは微妙そう




「…意味、わかってる?」




「…?」




にこにことした表情は崩さぬままなレン・リインに問い掛けるがわかっていないような反応




「だ、だから僕はレン・リインの事が一人の女の…――」




「レン・リイン」




「あら…ルオ・タウ」




「………」




わかってくれていないのに改めて言いかけた時、別の声が遮る。声の主はルオ・タウ




「長が、ラオ・クアン様が君を呼んでいる」




「ラオ・クアン様が?わかったわ、戻ります」




「あ、あ…レ、レン・リイン!」




ルオ・タウはシャム・ロウが眼中にないらしく、レン・リインに用件を話す
それにレン・リインも普通に受け答えをして水瓶を抱えて戻りかけるとシャム・ロウが呼び止める




「シャム・ロウ、レン・リインには早く戻ってもらいたいんだが…」




「ルオ・タウは空気読んでくれ!…レン・リイン、僕はレン・リインが好き!一人の女の子としてレン・リインが好きなんだっお願い、僕と婚儀の儀式をしてっ!」




「ごめんなさい、それは出来ないわ。私は今、ラオ・クアン様のお世話役だもの」




シャム・ロウ決死の告白をするがレン・リイン即答で拒否




「…………」




ルオ・タウは口を挟まない。それがより今の状況を虚しく感じさせた




「世話役だからって…そんな断り方ある?僕、昔からレン・リインが好きなのに…………アイツ…まさか、まだアイツの事忘れてないの?」




「…え?」




「僕達スクライブ族の意味を捨てて出ていった異端児のリウ・シエンだよ!」




「……!」




今が今まで動揺を見せなかったレン・リインがシャム・ロウのあげた名を聞くと瞳を揺らがせる




「やっぱり…やっぱりまだあんな異端児のこ…――」




――――ゴツンッ!!




見事な音と共にシャム・ロウがうずくまる
音の原因はルオ・タウがシャム・ロウの頭を殴ったからで、ルオ・タウの行動にレン・リインは目を丸くさせる




「い…!ルオ・タウ、何で僕が殴られなきゃいけないんだっ理解出来ないっ!」




「…女性相手に言葉を慎まないからだ。他に何か言い方があるだろう」




「む…ぐ……」




「時間をロスした…レン・リイン、戻ってくれ」




反論しにくいところを指摘してシャム・ロウを黙らせるルオ・タウ
これ以上の反論はないと判断するとレン・リインに戻ってくれるよう促し、空気を動かす




「え…あ、えぇ…………シャム・ロウ…ごめんなさい」





黙ってしまったシャム・ロウにレン・リインは謝罪を返してから、その場から去り、ルオ・タウも少し後に続いていく













.
次へ  

[戻る]
[TOPへ]

[しおり]






カスタマイズ