Tk物語
□募る想い
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「レン・リインが好きだ」
「私もシャム・ロウの事好きよ」
シャム・ロウの言葉ににっこりとした笑みを浮かべてレン・リインは答えるが、シャム・ロウは微妙そう
「…意味、わかってる?」
「…?」
にこにことした表情は崩さぬままなレン・リインに問い掛けるがわかっていないような反応
「だ、だから僕はレン・リインの事が一人の女の…――」
「レン・リイン」
「あら…ルオ・タウ」
「………」
わかってくれていないのに改めて言いかけた時、別の声が遮る。声の主はルオ・タウ
「長が、ラオ・クアン様が君を呼んでいる」
「ラオ・クアン様が?わかったわ、戻ります」
「あ、あ…レ、レン・リイン!」
ルオ・タウはシャム・ロウが眼中にないらしく、レン・リインに用件を話す
それにレン・リインも普通に受け答えをして水瓶を抱えて戻りかけるとシャム・ロウが呼び止める
「シャム・ロウ、レン・リインには早く戻ってもらいたいんだが…」
「ルオ・タウは空気読んでくれ!…レン・リイン、僕はレン・リインが好き!一人の女の子としてレン・リインが好きなんだっお願い、僕と婚儀の儀式をしてっ!」
「ごめんなさい、それは出来ないわ。私は今、ラオ・クアン様のお世話役だもの」
シャム・ロウ決死の告白をするがレン・リイン即答で拒否
「…………」
ルオ・タウは口を挟まない。それがより今の状況を虚しく感じさせた
「世話役だからって…そんな断り方ある?僕、昔からレン・リインが好きなのに…………アイツ…まさか、まだアイツの事忘れてないの?」
「…え?」
「僕達スクライブ族の意味を捨てて出ていった異端児のリウ・シエンだよ!」
「……!」
今が今まで動揺を見せなかったレン・リインがシャム・ロウのあげた名を聞くと瞳を揺らがせる
「やっぱり…やっぱりまだあんな異端児のこ…――」
――――ゴツンッ!!
見事な音と共にシャム・ロウがうずくまる
音の原因はルオ・タウがシャム・ロウの頭を殴ったからで、ルオ・タウの行動にレン・リインは目を丸くさせる
「い…!ルオ・タウ、何で僕が殴られなきゃいけないんだっ理解出来ないっ!」
「…女性相手に言葉を慎まないからだ。他に何か言い方があるだろう」
「む…ぐ……」
「時間をロスした…レン・リイン、戻ってくれ」
反論しにくいところを指摘してシャム・ロウを黙らせるルオ・タウ
これ以上の反論はないと判断するとレン・リインに戻ってくれるよう促し、空気を動かす
「え…あ、えぇ…………シャム・ロウ…ごめんなさい」
黙ってしまったシャム・ロウにレン・リインは謝罪を返してから、その場から去り、ルオ・タウも少し後に続いていく
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