Tk物語

□互いの願い
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「………」






「オレはね…レン・リインが…キミが今…ここに……オレの傍に、隣に、目の前に居てくれてる…その事実だけで十分なんだ」





今度は先程までの低い声ではなく何時もの、本来のリウの声
照れ臭そうにしながらも真っ直ぐに目の前の彼女…
レン・リインを見つめながら告げる







「リウ・シエン…っ」






真剣な様子なリウから告げられるとレン・リインは胸が高鳴るのを感じた。顔に熱が集まっていく
リウの顔もほんのりと赤くなっている





「レン・リイン…」






お互い赤い顔をして見つめ合う




リウはそっとレン・リインの赤く染まるその頬に右手を伸ばし優しく触れる
触れられたそのリウの手にレン・リインは自らの左手を重ね触れさせて微笑む








リウから動く
近付けていく












――ミシミシ…








――メキメキ…











――バキンッ!










バシャン!と水しぶきのあがる音が木霊する
広がる波紋






「「…………」」









一瞬何が起こったのか
リウもレン・リインも理解出来なかった





湖畔のほとりに
木で作られた足場に座っていた




見ると足場は一部分だけ壊れ砕けている






水しぶきの音
広がる波紋
身体に伝わる冷たさ
濡れているお互い





やっと把握…







腐りかけでもしていたのだろうか…二人は足場から湖に落ちたのだ
それでも咄嗟に感知したらしく
リウはレン・リインを抱え支える形で湖に浸っている
レン・リインはそんなリウの腕の中






お互いに顔を見合わせ苦笑を零し合う






「冷てぇー」





「濡れてしまったわね」





「だねぇ…」





「……リウ・シエン」





「ん?」











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