Tk物語

□募る想い
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「ルオ・タウ、ごめんなさいね」




「いや、別に構わない。私自身が殴りたくなっただけだ」




「……ありがとう」




「いや、だから別に…」




「私がお礼を言いたいの。受けとって?」




「…わかった。それでは、レン・リイン、ラオ・クアン様を頼む」




「えぇ……ん?ルオ・タウは何処へ?」




「少し、集落の外へ向かう」




「外へ?珍しいわね…気をつけて」




「勿論だ。では、後で…」




ルオ・タウとレン・リインは共にスクライブの族長であるラオ・クアンの傍にいる
その事から他のスクライブよりもよく話をしている為、淡々ながらも会話は続く。そして、ラオ・クアンがいる建物へ続く道と集落の外へ向かう為の道、分かれ道に差し掛かったところで二人は別々に




「…………」




『まだアイツの事忘れてないの?』
『異端児のリウ・シエンだよ!』




ラオ・クアンの元へ向かうレン・リインの頭の中でシャム・ロウの言葉が流れる





「……リウ・シエン」




ポツリと小さく呟く
浮かぶのは幼かった頃の、今はこの集落にはいない少年の姿
忘れる事は一度とてなかったが、思いを巡らせれば愛しさと懐かしさが込み上げる




「…………もし…もう一度…リウ・シエン、貴方に逢えたら…私は…―――」
















――貴方の手を、取りたい…













END
20100819



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