ROOM BECAUSE OF BECOMING SALACIOUSLY
□ワンコな彼とにゃんこな私
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顔を上げられないのは、決して泣いているからではない。寧ろその逆で、ウケ過ぎて笑ってしまっていたからだ。
栞さん。自分で花も恥じらう乙女なのって言っちゃってるし。大勢の前で大声出すなって言ってる本人が叫んでるよ。ヤバい。ウケる。
しかも、行き交う人々がクスクス笑ってるってば。栞さん、今、茹でダコ状態ですよ? 笑われてるんですけど。
そんな事、死んでも本人には言えないから心の中だけにしまって置こう。
笑いで肩が震える私を、栞は泣いていると勘違いしている。面倒なので敢えて訂正はしない。
「えっ! な、泣いてんの? やだ、私泣かすつもりで言ったんじゃないからね?」
解ってますよ栞さん。思った事をズバズバ言ってしまう貴女の性格は熟知してますから。そんなサバサバした貴女が大好きなんですよ、私はね。
オロオロし出した栞が可哀想になり、涙を拭う仕草をした私はそっと顔を上げた。
『…栞、朝から恥ずかしい思いをさせてすまん。以後気を付ける様努力はする。しかしだな、この言葉遣いだけは今更直す事は出来ないのだ。何せ此れで17年間という歳月を生きて来たからな。了承してくれ』
そう言葉を紡ぎ頭を下げると、目の前の栞にハァーーーと深い溜め息を吐かれた。
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