NOVEL3(ブレイズ・マザーシリーズ本編)

□Suicide Seaside
1ページ/10ページ

序章



 海が、見たくなった。
 さざ波の音を、潮の香りを恋しいと思った。
 空を見上げれば、薄く雲がかかっているせいか、さほど蒼くはなかった。
 見渡せば緑の欠片もない地平線が、大地を永遠のもののようにしているかのようだ。
 山はどこへ行ったのだろう。
 川はどうしたのだろう。海は……。
 冷水に触れたかのように彼は、はっとする。
 はじめて知ったのだ。
 何もかも失くして初めて……。
















 海との距離が、こんなに近かったことを。
次へ

[戻る]
[TOPへ]

[しおり]






カスタマイズ