NOVEL3(ブレイズ・マザーシリーズ本編)
□Suicide Seaside
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序章
海が、見たくなった。
さざ波の音を、潮の香りを恋しいと思った。
空を見上げれば、薄く雲がかかっているせいか、さほど蒼くはなかった。
見渡せば緑の欠片もない地平線が、大地を永遠のもののようにしているかのようだ。
山はどこへ行ったのだろう。
川はどうしたのだろう。海は……。
冷水に触れたかのように彼は、はっとする。
はじめて知ったのだ。
何もかも失くして初めて……。
海との距離が、こんなに近かったことを。