短編
□不器用な2人
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不動『おい、ドン・クサ子!
水!タオル!』
結姫『アンタ何様なのよ!
それに……そのあだ名やめてって言ったわよね……』
不動の言葉にカチンときたけど、私は従いざるをえない。
……なぜかって?
それは私がこのサッカー部のマネージャーだから。
それと……なんだかんだ言って不動のことが好きだから。
アイツは私のことをドン・クサ子と呼ぶ。
鈍臭いからだそうだ。
このあだ名には少しカチンとくるけど……嫌いではない。
それは多分、不動が付けたあだ名だからだと思う。
もし他のやつがこのあだ名で私を呼んだなら……容赦なくぶん殴るだろう。
結姫『はい、水とタオル。』
不動『遅ーぇぞ、ドン・クサ子。』
そう言って、いたずらっぽく笑うと不動はタオルで汗を拭き、水筒のドリンクをゴクゴクと飲み出した。
私はそんな不動の横顔を見て、無意識にとんでもないことを口走ってしまう。
結姫『……不動ってさ、好きな人いるの?』
不動『ブーーーッ!!!』
口に含んでいたドリンクを勢い良く吹き出した不動は咳込み、慌ててタオルで服を拭きだした。
それを見て私は我に帰り自分がとんでもないことを言ってしまったことに気づく。
や、やばい!何聞いてんだ私///!
でも今の不動の反応から見て好きな人いるみたいだな……
どんな子だろう?
可愛いくて、優しくて、女の子っぽい子?
想像した女の子がどれも私に当てはまらないことに気づき少し落ち込んでしまう。