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□隣の君
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−−−ピピピッ、ピピピッ、ピピピッ(体温計の音)−−−


優也『ありゃりゃー。これは完璧な風邪だね。』

士郎『……大丈夫だよこれくらい。』

ここは士郎の部屋。
ベッドに横たわり、熱を計っていた士郎の横にユウ兄、そして私はいる。

士郎は咳をしてるし、顔がほんのり赤い。
私たちを心配させないように平気なふりをしてるみたいだけど明らかにきつそうだ。


りおな『ユウ兄……
士郎の熱何度だったの?』


恐る恐るゆっくり質問した私を見たユウ兄は、私と同じようにゆっくり答えた。


ユウ兄『38.4°だねぇ。』

りおな『士郎ぉ、ごめん!
完璧私のせいだー(泣)』


そう。士郎が風邪をひいたのは……
じゃなくて、士郎に風邪をひかせたのはこの私なのです。

昨日夕立にあった時、私は士郎の学ランを着て士郎を薄着にさせてしまった上に、そんな士郎にお構いなしで先にシャワーを浴びてしまった。(第三話“温もり”の内容)
寒いこの季節でこれは体への大きなダメージとなったと思う。

絶対に士郎寒かったよね……
私って最低だ……


士郎『気にしないでいいよ。
こんな風邪すぐに…ケホッ!』


私を慰めようとしてくれた士郎だけど、すぐに咳込みだしてしまった。
そんな苦しそうな士郎を見るのがとっても辛い。


ユウ兄『とにかく士郎は学校を欠席して一日安静にしてること。いいね?』

士郎『……分かったよ。』


渋々ユウ兄の言葉に答えた士郎。
私はというと謝ること以外に言葉が見つからない。

本当は私も学校を休んで士郎の看病をしたいところだけど、優しい士郎は絶対に断って強がるんだろうな……


りおな『私、学校終わったらすぐに帰って来るね!
んで、士郎の看病するから!』


せめてその事くらいはしたい。
私が風邪ひかせちゃったんだし、ずっと家で1人だなんて困るよね。


ユウ兄『そうだね。そうしてあげてよ。
士郎にとっては可愛いりおなちゃんの優しさが何よりもの薬になるから。』


いつもの如くユウ兄は私をネタにして士郎をからかった。
でも珍しく言い返したりしない士郎は少し赤い顔をもっと赤くすると布団で鼻元まで顔を隠した。


士郎『……うん。待ってるよ。』


やけに素直な士郎をユウ兄はポカンと口を開けた状態で見下ろす。
私もユウ兄に言い返さない士郎をらしくないと思ったけど、正直頼りにしてくれてるみたいで嬉しかった。

しかも士郎の今の言葉や仕草が可愛く感じてしまう。
やっぱり熱出すと人って無防備になったり素直になるもんなのかな。


美紅『はい!会話はそこまでにして、りおなは制服に着替えて学校!
優也は朝食食べて仕事の準備!

あなたたちみたいにうるさいのが
2人もいたんじゃ士郎くん眠れないでしょ。』


いつの間にか士郎の部屋に入って着ていたお母さんから私とユウ兄の肩は後ろから肩を掴まれた。
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