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□早とちり
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りおな『できたぁ!』


頭上に祝福のファンファーレが鳴り響く。
私はキッチンに綺麗に並んだ二つのお弁当をみて頷いた。
キラキラ輝かんばかりに敷き詰められたおかずの数々を眺め、我ながら感心する。


りおな『士郎喜んでくれるかなぁ♪』


テンションが上がった私は鼻歌を歌いながらお弁当の蓋をしめ、袋の中にそっと包んだ。

そぅ。このお弁当は私と士郎のお弁当。
料理に自信のない私だけど無事、納得いくものが完成した。
いつもより早起きして作ったってのもあるせいで無性に自分を褒めたくなってしまう。

なんでそこまでして二人分のお弁当を作ったって?
それは……結局昨日士郎の看病をしてあげられなかったからです……

自分から看病するって約束したのに、いつの間にか寝てたなんて……ほんとバカだ。

しかも病人である士郎から気を使われてタオルケットをかけられたし。
私が切っておいたりんごを士郎が食べてくれてたのが何よりもの嬉しさだけど看病しなかったのには変わりないもんね……

こんなことを思っている間にいつのまにか起きて来ていた士郎があくびをし目をこすりながら話しかけてきた。


士郎『りおなおはよぉ。
どうしたの?もう制服着て。』

りおな『うわぁ!士郎!
……た、体調は大丈夫なの?』


なぜかお弁当を背中の後ろに隠した私。
士郎は寝起きのせいで頭が回ってないのか不自然な私の行動には何もふれて来なかった。


士郎『うん。もう全然平気だよ。
心配かけさせてごめんね。
あと、りんご切ってくれたのりおなだよね?ありがとう。』

りおな『いやいや。風引かせた原因は私だし。ほんとごめんね。
そういえばこちらこそタオルケットかけてくれてありがとっ。』


さっそく作ったお弁当を士郎に差し出して喜ばそうとした私。
背中の後ろに隠しているお弁当に手の力が入ったその時……


士郎『そういえば今日カツサンドを購買に買いに行くんだけどりおなもいる?』

りおな『……え?』

士郎『この前仲のいい購買のおばちゃんが言ってたんだけど、今日から新発売なんだって。
だからりおなと僕の二個分取っておいてって約束したんだ!』

りおな『……そぅ、なんだ。』


お弁当を渡そうとした瞬間、考えもしなかったことをサラリと言われ、余計にお弁当を背中の後ろに隠してしまった。

トイレに行った士郎を確認した私は、ばれないうちに学校のカバンの中に二つのお弁当を無理やり突っ込む。

な、なにしてんだろ私。急に慌てちゃって……
お弁当……士郎に聞いてから作ればよかったな。
……しょうがない。大食いのリカに食べてもらおうかな。

さっきまでの浮かれた気分がいっきにしぼんでしまった。
勝手に張り切っていた自分が恥ずかしく感じた瞬間だった。
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