トリップガール
□小さな町
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新しく士郎も旅の仲間になったところで私たちは次の世界へとばされだした。
やっぱり前回のように目の前の景色が薄れていったと思ったら白くなり、次は星や雲などいろんな時空が混ざり合った空間が広がっていく。
そして凄いスピードで私達は進んで行っている。
美空『前と同じだっ!』
アツヤ『当たり前だっての!
前回はお前が俺の肩に背負われてるまま気を失ったから大変だったけどな。
おかげで背負ってた方の肩がまだ痛いぜ。』
冗談で言ってるのか本気で言ってるのか。
アツヤはそう言うと右肩に左手をまわし、肩を揉み出した。
って!私は好きで背負われたんじゃないし!
てかアツヤから無理やり背負ってきたんだよね!?
そう言い返そうとした私だったけど、アツヤの言葉でかき消された。
……というか、黙らされた。
アツヤ『知らねーだろうけど、あん時お前、俺の肩にヨダレたらしてたんだぜ。』
士郎『ア、アツヤ!……』
私は士郎とアツヤに挟まれて真っ赤になってしまった。
士郎は私を気づかってアツヤに注意してくれたけど、とうの本人は全然反省してないらしく、悪魔のように笑っている。
ほんとにこの二人双子なんですか?……
まるで天使と悪魔だよぉ。
確かに見た目はそっくりだけど、性格は正反対すぎでしょ。
アツヤ『っと!着くぜ。』
アツヤの声に反応して下を向いていた顔を上げると、前方はもの凄い輝きを放っていた。
士郎『あれが次の世界の入り口なの?』
アツヤ『あぁ。』
あまりのまぶしさに目を細めた私は、我慢出来ずに目を瞑っていた。
目を閉じたというのにまぶたの外の光が伝わってくる。
私の横でも驚いて声をあげる士郎の声が聞こえた。
アツヤだけは何も言わず、慣れたような様子で平然としているのだった。
近づいてきた光をくぐり抜けるともうまぶしすぎる輝きはおさまっていた。
……着いたのかな?
そう思った私はゆっくりと目をあける。
美空『……うわぁぁああ!』
士郎『す、すごい。
ほんとに異世界に来たんだね……』
目を開けてまず飛び込んできたのは、ずっと向こうまで広がっている草原。
そして私達の右方向の少し先には人が住んでいる様子の小さな町がある。
煙突からは煙が出ており、赤、茶、黒といったたくさんの色の屋根の家が並んでいる。
でもやっぱり、私がいた世界とは違う。
アツヤ『んじゃ、早速向こうの町へ行ってみようぜ。』
美空『そっか!
誰かの願いを叶えないといけないもんね!』
やる気と好奇心に満ちた顔で私はアツヤの顔を覗き込む。
すると反対側にいた士郎が肩に手をおいてきた。
士郎『よし、行こう!』
美空『うん‼』
アツヤ『おぅ!』