romanzo

□05
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俺は光希に何かしただろうか。
最近俺に対しての態度が明らかにおかしい。

視線が合ったと思ったらすぐ反らされる。

会話の内容もそっけない。

唯の自意識過剰か?



「なぁ、拓磨」


「ん?なぁに?」


「俺の思い過ごしならいいんだけど、俺って光希に嫌われてる?」


「みっちゃんが?薫君を?」


「そう」




うーん、と小首を傾げたと思ったら、あっ、と声をあげた。




「もしかして相馬君じゃない?」



「鏡?」



「うん。ほら、みっちゃんって相馬君のこと大好きじゃない?」




そうだな。




「同じクラスで席も隣だし、メガネ部に引き入れたのも相馬君でしょ。だから嫉妬、みたいな?」



「ということは何だ。俺はとばっちりを受けているということか」



「結果を見ればそうなるね」




鏡のせいで俺の平穏なスクールライフの実現は難しいらしい。

全ての原因はアイツか。




「そんなのどうしろって言うんだよ」




俺の呟きに拓磨も困った顔をしていた。

それから光希の視線を浴びながらの生活は続いた。
日に日に視線が鋭くなっていっているのは気のせいだと信じよう、うん。






そんなある日の昼休み。

鏡の購買行くぞ!から逃れた俺は静かな昼休みを手に入れるべく廊下を歩いていた。

雨が降っていて屋上は無理だし中庭も同様。
さて、どうするか……




「ん?」




前から大きな荷物を抱えた……

あれは光希か?

荷物を抱えたというよりも、荷物に埋もれてる。




「光希?大丈夫か?」



「薫先輩ですか?」




どうやら前も見えていないっぽい。






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