romanzo
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今日から俺が通う事になる、県立ヒマラヤ第三工業高校。
5月半ばという中途半端な時期に転校してきたのは、まぁ、家庭の事情ってやつだ。
2年E組、これからここでの生活が始まる。
俺の事が噂になってるのか教室内は騒がしい。
「ほら、席に着け。今日は転校生を紹介するぞ」
担任の合図で教室に入ると視線が一斉に俺に向く。
「はじめまして、中西薫です。よろしくお願いします」
担任に促され席に着くと早速隣のヤツが話し掛けてきた。
「俺は相馬鏡、よろしくな!」
適当に流そうと思い返事をするが何故か俺の顔をガン見してくる。
「……。なぁ、俺の顔になんか付いてるのか?」
「あぁ、悪い。そうじゃないんだ。お前のその眼鏡って伊達じゃないよな?」
「普通に度が入ってるよ」
そう言った瞬間、相馬鏡は目をキラキラとさせ俺の両手を掴み
「メガネブに入らないか!?」
「は?ネガティブ?」
「いやいやいや、メガネブな」
相馬鏡がメガネブのなんたるかを語りだそうとした時
担任がうるさいと目で訴えてきた。
「相馬、鏡だったよな、とりあえず静かにした方が良さそうだぜ」
「あ?そうか、んじゃこの話はまたな後でな」