短編綴

□白と黒
1ページ/4ページ

兄弟シリーズ 佐助編

▽設定
真田 蒼弥
幸村の3つ下の弟。武器は弓。
兄とは何もかも真逆で、曲がったことや裏をかくのが得意。甘いものも苦手で厚っ苦しいのも嫌い。言いたいことはズバッというので、人に嫌われやすかったりする。




注)
流血・性的表現が含まれます。
どちらも無理という方は退散願います。















白と黒
_______________
兄弟シリーズ 佐助編
 ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄




「お前みたいな何考えてるか分からないやつ、嫌いだ。僕に関わるな」

旦那の弟が来ると聞いて一応挨拶を、と思って挨拶したときに言われた言葉。
その時蒼弥サマは齢10の時だったが、あんな真っ直ぐな旦那の弟がこんなひねくれたやつとは俺様思いもしなかった。
そいつは未だに俺様達忍を忌み嫌っている。







ある昼下がり。
今日も蒼弥サマは弓道場で一人、弓を放ち続けている。

スパッ――トン

スパパッ――トトン

初めは1本、しばらくすると2本。
どんどん同時に放つ矢は増えていき、最終的には10本の矢を放つ。
矢は全て蒼弥サマの属性「光」で作られていて、矢を放つまでは太い1本なのに、放たれると同時に蒼弥サマの意思で複数の矢に分裂して、狙ったものを確実に射抜いていく。1本だけ放つ矢は真っ直ぐ進むのに対し、複数放つ時はどの矢も真っ直ぐに進まず、獲物をどこまでも追いかけていくから恐ろしい。
俺様が今まで見てきた戦・稽古で1回も外したことがないから、敵にまわしたくない存在だ。

光属性に相応しい様な薄黄色の髪。風に靡く髪は絹糸の様で、腰まである長い髪を風来坊のように高い位置で結んでいる。
南蛮製の白くて丈夫な生地で太腿の中程まであるいかにも南蛮らしい上着(・・・竜の旦那はコートと言っていた)を羽織り、他も南蛮らしい服を着ているらしい。(竜の旦那曰く、全身イギリスの服装と言っていた)
日ノ本らしい服装は寝るときにしか纏わないので、「馬鹿にしてるのか!」と誰かが騒いでいるのをよく聞くが、本人の前では畏怖して誰も言えていない。だけど、どういうわけか、竜の旦那には気に入られているらしい。

俺様が知っている情報はこれぐらいだろう。
いや、日ノ本に住むほとんどの人が知っている情報は、だ。
蒼弥サマとの顔合わせの時以来、俺様も蒼弥サマには直接あって話せていないから、これ以上の情報は手に入っていない。
それに、蒼弥サマ自身もあまり人と関わろうとはしないからっていうことも影響しているのだろう。

・・・とにかく俺様は、何がしたいのかが分からない蒼弥サマのことが苦手だ。



 
次へ  

[戻る]
[TOPへ]

[しおり]






カスタマイズ