イベント夢
□チョコと一緒に
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「チョコありがとう♪だけど驚いたよ」
口調こそいつも通り。
だがその目は凛だけをまっすぐ映している。
「忙しくて渡せそうになかったから....それだけです」
「それだけ?」
「たっ、たまたま茄子くんが居たから思い付いてっ...!」
閻魔殿へ突然現れた白澤は人気のない物置部屋へ凛を連れ込み、聞かずにはいられないといった様子だ。
「ホント〜?隠さなくていいのに、僕には凛の気持ちはお見通しなんだから」
得意気にそう言った白澤の指はするりと凛の指へ絡む
「チョコだけじゃなくて凛自身も受け取ってほしいってことでしょ?」
「っちが...そうゆう意味じゃ、無いです...!!」
何て慣れた手つきなんだろうと彼の女慣れした仕草が気に食わないのに、だんだんしどろもどろになる自分が憎たらしい。
「凛は言葉より表情の方が素直だよ」
私から目を離さない澄んだ瞳は子供みたいに綺麗なのに、しっかり指を絡めた手は壁へと押しあてられ逃げ場を失う。
本当に心の中まで見透かされてる様な気がする。何とか強がって睨むのが今私に出来る数少ない抵抗。
「....はなして、セクハラです、変態っ!ろくでなし色魔っ!!」
「はいはい、じゃあその変態ろくでなし色魔にわざわざ手作りチョコを手渡ししてくれたのはだぁれ〜?」
あぁ、ダメだ...
何を言っても堪えないらしい。
やっぱり方法が不味かった....
だが後悔先に立たず
「ご丁寧に自分にリボンまで巻いちゃってさ」
「____っ!あぁっ、あれは、運ぶの大変そうだったから...背中に背負わせてあげただけですッ!!」
ことの始まりは客足もまばらな昼下がりの極楽満月
数日前のバレンタインに届くはずだった贈り物が、少し変わった配達人から届いたことから。