蒼穹

□Separation
1ページ/4ページ


自分に振り向けられる笑顔はいつも悲しそうで。

それに対する言葉がなくて、俺はいつも歯噛みする。

「生」と「死」との狭間で「守る」ために、俺達は戦う。

いきなり始まってしまった戦いは、いつ終わるかなんてわからない。

気休めなんかもない。
けど
駆け巡る時間のほんの一瞬だけ。

俺は少しでも温もりを感じたい。

「大人」になるために作った「冷たい心」を
少しでも温めたいから。



Separation





夜の情事の後、俺らは向かい合ってベットで眠っていた。
総士はとうの昔に寝息をたててしまっている。
長い髪は、総士の後ろにあって、こちらには邪魔にならないようになっている。

それは変わらない。

自分のためを想ってくれてるようで。

意識なく髪をこちらに向けて寝てしまうのを想像すれば、もしかしたら髪が邪魔で寝られなくなってしまうかもしれない……。
それは勿論、また体の奥が疼いてしまいそうで。

どんな理由があるにしろ、総士が自分と向き合って眠り、カワイイ(一騎視点)寝顔が見られるということは、嬉しいものだ。


明日になればまた辛いことが続く。
自分も……。
総士も。

いきなり上に立つことになってしまった総士。
そのプレッシャーは相当なものだろう。
全てを背負うという責任と、多大に押し寄せる責任と。
それは自分も同じ。
だけど、ただ戦うだけの自分とは何か違う。
そんな気がしてならない。

それに
俺の目から見て総士は
頑丈だけど
容易く割れてしまう
そんなガラスのような儚いモノに見えてしまうことがある。



次へ

[戻る]
[TOPへ]

[しおり]






カスタマイズ