蒼穹

□地下制服の策略
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似合うか似合わないか

それは着てからのお楽しみ



地下制服の策略





「見てくれ総士!!どうだ、似合うか?」


いきなり現れた一騎は、爽やか過ぎる笑顔で総士の前に姿を見せた。


「……どうしたんだ?制服なんか着て……」


そう、今一騎が身に包んでいるのは、紛れもなく地下の制服。
総士は想像もしていない一騎に目を見開いて問う。


「前に言ってただろ?俺の制服着たところ見たいって」

「あー…うん」


そういえば……と、総士は過去の自分のさり気ない発言を思い出す。


「んで、似合う?」

総士に一歩近づき訊く。
そう言われ、上から下まで何度も眺める。
自分と同じ服なのに、まるで違って見えてしまう。

いつもの一騎より格好良く見えてしまう

そんな感じがして、総士は人知れず顔が赤くなっていくのがわかる。


「どう?」

「…うん、似合ってる。凄く似合っているよ」


頬を染め、微笑んだ総士に一騎はニッコリと笑う。


「じゃあ、総士はコレ…着てね」


と、一騎は唐突に言い、どこから取り出したのかわからないが、地下の制服を取り出してきた。


「何コレ………はぃ!?」


手渡された制服を、何の考えもなしに無造作に広げ、総士は固まった。
カラーは同じだが、微妙にデザインは異なる。
しかもジャケットが短く、ズボンの代わりに……スカートがついている。


「…一騎……何考えてる」

「何って……これを総士に着てもらおうかな〜って思ってるだけ」

「僕は女じゃない。男だ。一騎は当たり前の如く知ってるよね?」

「もちろん。男だけど、俺の恋人だってことも、ね」

「なっ………!」


口元を押さえ、真っ赤になった総士に、もう一押しと、一騎はもう一歩総士に近づきその手首を掴む。


「俺、せっかく総士のためだけに制服着たんだよ?」

「あ…あぁ」

「だったら総士も、今日だけは俺のために……着てくんない?」


総士の口元に近づけ囁くと、総士は顔を真っ赤にしたまま俯いた。


「……ね?」

「…………わかった。わ、わかった…から…」


一騎は心の中でガッツポーズをすると、一度総士の鼻の頭に唇を触れさせると離れた。


「着替えの時…見るなよ」


顔を俯かせたまま、総士は行ってしまう。

そこで一人一騎は

(あんまこの制服好きじゃないけど、無理してまで着てよかったな〜)

などど、これから起こることを期待して、笑った。






5分後
なんとなく室内を見渡すと、一騎は人の気配を感じて顔を上げる。


「あ、終ったー総士?」


少し離れた場所に立っている総士の姿に、一騎は心踊らせる。

曝け出された、細い足。
色素の薄い、長い髪。
チラチラとコチラを見やる定まらない視点。
潤んだ瞳。
紅潮した端正な顔つき。
その全てが、総士を女の子に見せる。

総士は顔を伏せているはいるが、今までにないくらい真っ赤になっているということは、容易く検討は付く。
スカートの裾を掴んで恥ずかしさに必死に耐えている姿がとても可愛らしい。


一騎はベットに腰掛けている。
女の子にしか見えない総士に、鼻血は出ないことを祈りながら、総士を手招きした。


「総士」


恥ずかしさからか、総士は一騎の方を見ようともしない。



「……総士」



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