蒼穹

□君だけだから
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【玖珂ふみこ様キリリク】


何よりも君が大好きだよ

何よりも君が大切だよ

強すぎる独占欲と言われても構わない

だから

自分以外のでその笑顔を見せないで

離れてしまわないで





君だけだから・・・






クラスの中は騒々しくなっていた。

一騎は一人、つまらなさそうに頬づえをつき、少し離れた位置にいる恋人---総士を見つめていた。

クラスで決めなくてはいけない事柄は、前半の時間だけで決まってしまった。
これは学級委員のなせる業?
自然とその後は自由時間となり、今の騒がしい時間が始まったのだ。


「はぁ…」


気にくわない。
総士の席は、一騎より前にあるが思いっきり離れてる訳ではない。
なのに、総士の側にいるのは---剣司。
空いていた総士の前の席にすわり、何やら珍しく難しい顔をする剣司。
また生徒会の仕事だろうか?
頭の回転率(一騎に言わせると、だが)が低い剣司は、よく総士に仕事を手伝ってもらうことがある。


しっかり者の、学級委員長。

それは一騎だって理解してるし、このクラス内では誰よりも総士のことはわかっている。

だけど

わかってはいても、受け入れることも出来ないこともある。

総士は頭を必死に悩ます剣司に薄く笑みを浮かべている。
たまに噴出すように笑うと、剣司が頑張って何やら抗弁している。

思わずいたたれもなく、総士に近づこうとした瞬間、ある音が教室を多少静かにさせる。
チャイムが鳴り響き、教室のドアが開かれたのは、さらに一拍置いてからのことだった。





次の時間は体育。
今日の男子のメニューはサッカーである。
いくつかにチームを分け、勿論(?)一騎と総士は同じチーム。
目の前では自分たちのチーム以外の試合が行われており、残るチームは見学。
とはいっても、総士が試合にでることの方が少ない。
むしろ出ないほうが極端に多い。
個人競技ならともかく、こういったランダムにボールが向かってくる競技は参加しないことの方が多い。
いつ死角の左側から飛んでくるのかわからないからだ。
自分が傷つく、というより、何より周囲に迷惑をかけられない。
それが理由だった。
担当教師には既に話をつけているので、さほど問題はない。


「なぁ総士…」

「今日も出ないよ。やる気おきないし」



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