蒼穹

□幼少の初恋を君と
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【清屋様キリリク】




子供が自我を持ち始めるのは、いくつの時だろうか?

そして自我を持った時、人は何を感じていくのだろうか?

その一つはとても簡単。

自分がいて、相手がいるからこそ生まれる

「好き」

という、たった二文字のコトバ。





幼少の初恋を君と





いつもと変わらぬ、晴天日和。

一騎は暇だと思いながら、ひとり公園へと向かった。
幼きながらも、いつもの公園に行けば誰かかんか友人がいることを、ちゃんと知っているのだ。

だが、公園に近付けば近付くほど、いつもは聞こえてくるはずの他の子供達の声が聞こえてこない。

(あれ?みんな、いないのかな?)

一抹の不安を抱えながら、一騎は公園の中を覗き込んだ。
案の定、そこには人の気配がなく、一騎は溜め息を吐いた。が、
その公園の端にあるブランコ側。

(泣いてる?)

ブランコから落ちたのか。小石に躓いたのか。
理由は当然わからない。
一騎は仕方ないな、と泣いている子の元へ歩き始めた。


近くなればなるほど、泣いてる子の特徴がわかってくる。
その背中から見て、おそらく同い年くらいの子。
髪の毛はふわふわしてて、柔らかそう。
色素も薄くて、髪も肩くらいまであるから、多分女の子。

顔を両手で覆う女の子の隣に立ち、一騎は腕を伸ばした。


「なぁ、泣いてるのか?だいじょうぶか?」


その子が泣くのをやめ、そっと手を外す。


「ころんだのか?それとも、ブランコから落ちたのか?痛いんだったら…」


と、そこまで言いかけて一騎は言葉を止めた。
思った通りの柔らかい髪。
涙いっぱいの大きな純粋な瞳。
上目で不安そうな、真っ赤な顔。

---ドキ、と心の中で何かが波打った。
直後から、そのドキドキと止まることをしらない、胸の辺り。


「あ、あの…」

「一騎?」

「………」

「………」

「………」

「………」

「………」

「どー、したの?」

「も、もしかして、総士?」


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