□This moment in eternity
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心地良い風が、天界を擽る。


何かとよく来る機会の多い泉の近く。
木にもたれるように、ゴウがいた。

青と赤の瞳を細め、膝を枕にして眠る相手の髪を撫でている。



This moment in eternity




膝枕で眠るガイは気持ち良さそうにゴウに身をよせていた。
少々身を丸めて、まるで幼子のようだ、とゴウは笑みを浮かべた。
前髪を梳いてやると、ゴウの欲目などない可愛らしい寝顔がそこにはあった。


普段はヤンチャで、負けん気が強く。
それでいて繊細の寂しがり屋。
六聖獣の自覚があるのかどうかも危うい。
しかし、それがガイの良い所、と言えばそうである。
現に六聖獣の中で外見的にも一番幼いガイは、皆に弟のように扱われ、好かれている。
少々口が悪いのは、改善すべきかもしれないが。


「ん…、ぅん?」

ガイの反応に、ゴウは一定のリズムで梳いていた手を止めた。
ゆっくりと開かれた大きな瞳が、少しさ迷った後にゴウを捉えたようだった。


「ぁ…ゴウ?」

「どうしたガイ。変な夢でも見たか?」

「いや……違う、けど」


トロン、とした瞳のまま、ガイは必死に言葉を紡いでいるようだった。

温暖な気温。
心地良い風。
感じる、愛しき者の温もり。


ガイはそれらの優しい感覚に、どうにか抵抗していた。
だが、このままでは恐らく、その感覚に負けてしまうだろう。


「ガイ、まだ眠いんじゃないか?寝てていいぞ」

「ん…で、も」

「時間になったら起こしてやるから。俺も傍にいてやるし、安心しろ」

「ぅん…じゃぁ、お言葉に…甘えて」


それだけを残して、ガイは再び瞳を閉じた。
すぐに聞こえてくるガイの規則正しい寝息に、ゴウも再び髪を撫で始めた。




こんな平和な時間が、いつまでも続けばいいのに。

この穏やかなる瞬間よ、永遠に。







20060829再up






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