□Piercing Blue
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「はい」


部屋に戻ってくるなりシンは、レイにあるものを差し出した。
あきらかに女の子用にラッピングされたピンクの小さな封筒に、一瞬考えてしまう。


「あ、ありがとう」



Piercing Blue




笑顔で、でもどこか物言わせぬオーラに、レイは微笑を浮かべて受け取った。
何だろう、と考える前に注がれる熱視線。
それは無言の催促。


「あけていいか?」

「もちろん」


丁寧に封してあるテープを剥がす。
開いてから包みをひっくり返すと、音も立てずレイの手に落ちた。


「ピアス?」


小さな青い石がついた一組のピアス。


「レイに似合うと思って、前の買出しで衝動買い。イミテーションだけど、キレイだろ?」


確かに。
レイはその小さな石を見つめた。


「だ、が、俺たちは軍人だ。しかも下っ端。こんな目立つピアスは…。っていうか、穴をあけてない」

「大丈夫だよ。これはマグネット式だから」


かして、とシンに言われて渡すと、嬉しそうにシンはビニールからピアスを取り出す。
レイの額にキスを落としてから、そのままの距離で右耳にマグネットピアスをつける。
手馴れた動作で逆の耳にもつけると、シンは満足するように、レイの髪を耳にかけた。


「ん、きれい。レイは碧眼だから、絶対似合うと思ったんだ」


自分ではまだ確認していないが、シンの素直な笑顔を見るだけで十分だとレイは受け入れた。


「青はいいよな。なんか、地球って感じがする」

「そう、かもな。平和になればきっと、あの青の惑星ももっと輝けるだろうな」


そっと、レイはピアスに触れた。

シンはレイの目の色も、ピアスもきれいだと、言ってくれた。
ともに人工物である、この青に。
イミテーションのピアスの石と、操作されたこの目の色と。
しかし、宇宙から見ている地球の青は、間違いなく自然物。


(同じ青なのに、どうしてこうも、差異があるのか)


もっと鮮やかな青の地球。
平和な地球の色を見つめる時、果たして、命はどこに漂っているのか。


「ありがとう、シン」










両手に爆弾@楓
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種D:シン*レイ

皆様に愛を込めて...20090222/200909再up






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