□身体を温める方法
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【間宮澄様キリリク】


冷え切った身体を温める方法は・・・?

@温かい飲み物を与える

A温かいストーブを持ち出す

B重ね着する

Cお風呂に入る

D・・・





身体を温める方法






「あーとうとう降りだしたか…」


神社の中から厚く重たそうな雲と、そこから落ちる雨に目を向けた。
他人事のようにも感じながらも、一人嘆息する。
いつものように漫画を描きにきた高校生2人は雨が降る前に帰ったのだが、
もう一人の住人---飛鳥井柊一の帰宅はまだだった。

(傘は持ってってないよな?)

傘が必要か否か、そんな会話をしたような覚えがある。
その時に、彼−楠木誠志郎は「傘はいらないんじゃないか?」と言ったのも、覚えがある。
仕事に年相応以上のプライドをもつ彼は、自身もプライドは高めである。
帰ってきたら、開口一番文句を言われるんだな、と容易に想像でき、また嘆息する。

(それがアイツにのイイ所でもあるんだけどな)

口元だけで微笑む誠志郎
とある夏に訪れた恋人との同居生活に満足する男の笑み。


一先ず古い雨戸を閉め、真っ直ぐ台所へ向かう。
風邪などひかれたら困る。
ヤカンに水をいれ火にかける。
これならいつ帰ってきても、ほんの少し火にかけるだけで冷めたりはしない。


「お茶でいいよな…」


無意識に零れた言葉に従うように缶を取り出そうと手を伸ばした瞬間、玄関からの大きな物音が誠志郎の行動を制限させた。
いきなりの物音に手を止めてしまったが、それが何であるのか、彼が声をかけなくとも簡単に知れた。




「だぁーー最悪だぁ!!」


予想通りの反応に苦笑いを浮かべる。
まだ半分は水のままであろうヤカンの火を止め、少し小走りめに玄関に向かう。


「あ〜あ、思いっきりずぶ濡れじゃないか」

「ウルサイ……」

「ほらタオルだ。身体ちゃんと拭けよ」


あらかじめ用意しておいたバスタオルを柊一の頭にかけてやる。
不服そうな顔はしたものの素直に受け取る柊一に誠志郎は微笑む。


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