□砂糖菓子の舌先
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【幸草様キリリク】

ぶつかりあうこの熱に

僕らはまた

愛の鼓動を感じる。





砂糖菓子の舌先





「はぁ…」

「………」


情事の後の気だるさ。恍惚感。
相反するような妙な2つの感覚に襲われながらも、どうにか身体を捻った。


「水、飲む?」

「…飲む」


疲れているのはお互い様。
でも、負担が大きいのは柊一。
誠志郎は常温に戻してあったミネラルウォーターを手に取ると、柊一に手渡した。


「ふぅ、やっと落ち着いた」

「お疲れ様」

「…その台詞、おかしくないか?」

「そうかな?」


残ったミネラルウォーターのボトルに口付けながら、誠志郎は笑った。
柊一は相変わらず、怪訝なままだ。

いつもはこのままシャワーを浴びるのが、普通である。
特に柊一は、このベトベト感が少し苦手らしい。
フラフラになりながらも、狭い浴槽に向かう柊一を、誠志郎は微笑ましく眺めている。
手を貸すと怒るので---半分は照れ隠しだろうが---今はとてもじゃない限りは黙っている。


中に溜まった相手の白濁のナニは、すでに外にかき出されているので、特に問題はない。
…らしい。


「楠木、もう、行く…」

「何処に?」

「シャワー浴びに、だよ。なんだ今更」


いつものことだろうが。
柊一は怒気を含ませながら呟いた。

しかし誠志郎は、そうだね、と返しただけだ。


「ねぇ、飛鳥井」


まだ布団に埋もれている柊一に寄り添うように、誠志郎は再び横になった。
柊一の背後に、ピッタリと。


「だぁー!?な、なんだ?」


奇怪な声を上げ、驚く柊一。
しかし誠志郎はそんな相手の声を気にすることもせず。
そっと。
後ろから柊一を抱きしめた。


「ちょ、楠木!?」

慌てて逃げるように、暴れる柊一。
しかし、身体は---特に腰は痛いわ、情事後すぐだし、
体力だってほとんど残ってないし。
弱い抵抗は、誠志郎の腕を振りほどくことは出来はしなかった。


「いいじゃん、たまには」

「気持ち悪いんだよ、このベトベト感が」

「愛し合ってた証拠、だろ?」

「お前が言うと、似合わない」

「まぁまぁまぁまぁまぁまぁ…」


軽く言いながらも、拘束は弱まらない。

長い付き合いから。
こうなっては意地でも離さないだろうと判断した柊一は、肩の力を抜いた。
柊一の動きを確認し、誠志郎はこれぞとばかりに更に密着した。


「くすぐったい、息」

「あーごめん。でも、我慢」


とことん、我侭。
柊一は言葉を飲み込んだ。



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