□鳴り響くベルの音も明日には終わる
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今日しか時間がないのだと、笑う。
クリスマス。
何日も前から準備は進み、たった2日で終わってしまう行事。





「それでも祝うのだな」


家まで、あと少し。
雪が舞っていても、気温がそんなに低いわけでなく、比較的温暖なこともあり。
彼の気まぐれに付き合い、目的地まで徒歩で向かっている。


「それがクリスマスだからね」


可もなく不可もなく。

そもそもクリスマスの定義など、考えはしない。
もちろん、全員がそうではないだろうが。
自分は神について云々考えるより、目の前のことを考える。
もっというのならば、目の前のこと以外を考えるのが出来ない性格。
目に見えないものを信じない、だからこそ、メカニックとして技術顧問として数値と向き合っている。


「明日からまた仕事か…」

「仕方ないよ、一応軍籍だし。イブでも今日に時間確保できただけでも良しとしないと」

「モノは考えよう、だな」

「そうだよ」


さり気なくケーキの箱を見せ付けると、渋い顔をされた。
買ったのは君でしょう?

クリスマス、お構いなしに話すのは、やはり時事ネタであり軍隊。
これでは基地といる時と何も変わらない気もする。
違うのは、雰囲気だけ。
それでも楽しいと思えるのは末期か。


「だが、やはりクリスマスは良いものだ」

「へぇ、なかなかの高評価じゃないか」

「たまにはいいだろう?」


教会のベルの音が、遠くで響いている。
先ほどもアドベンドで聞いてきたが、遠くで聴こえる音はまた雰囲気が異なる。
なかなかの不思議な気分だ。


「どうした?」

「雪。ケーキ。鐘の音。それも一瞬かと思うと、なんか急に寂しくなってね」

「…またその話に戻るのか?」


何十分前か、何時間前か。
そんな、いつの話なのかは覚えていないが、そうだね、と自分のことで鼻で笑ってしまった。


「寂しくなったら、いつでも私を呼べば良いさ」


それは、自身を魅了するに十分すぎるほどの美しい笑みだった。


「はは。君を好きになって良かったよ」




鳴り響くベルの音も明日には終わる
(それでも、僕等は何も変わらない。)




初めて書いた、ビリグラ。
楽しい。
クリスマス終わってから(年明けてから)、クリスマスのお題とか始めたからね。
後悔はしないよ(笑)
あえて名前とか出さないで書いてみたけど、苦労した分、満足。
ただ、元々考えていたプチ連載とラストが異なっていて…涙です。
6つ目の題の意味を間違って捉えてて、打ってる最中に気付いた、俺は愚か者。
よってラストが微妙に題ズレしているというわけだ←

ありがとうございました。





























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