□暖かな風
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「んー、気持ちい〜」



ふと気付く6のお題
暖 か な 風




ある晴れた、ある日のある時間。
「地球」とはまた違う、ある世界のある場所。

金の髪を色彩豊かな草地に置いて、天気のよい空を見上げた。

こんな時は修行なんてしたくない。
と、四聖獣のひとり、白虎のガイは気を抜いた笑みを強く顔に浮かべた。

ゴロゴロと寝転がるだけで良い草の匂いがする。
地の匂いもする。
自分の属性が「地」であることさえも純粋に忘れそうになるくらいの、いい匂い。
無意識に鼻が動いてしまうことも度々。


「鼻を動かすことなんて、レイのご飯の準備の時くらいだな〜」

とか、長い髪をもつ「妖艶で華麗」な仲間の顔を思い出してもみた。

ついでに「過去」というものも。

昔は皆ココにいて、笑いあった。
勿論色々あったけど、それでも皆で楽しんでココにいた。

(前にマヤと勝手につまみ食いとかして怒られたよな…)

など、昔のことばかり思い出していたからわからない。
今の状況とか何も見てないから、気付かない。
過去に笑ってばかりだから、目の前でこれから起こるであろう事に気付かない。

そう

例えば、約束した相手が目の前に怒りの形相で立っていた、とか。



「やけに大層なご身分だな…ガイ」

「そうかぁ?だってさ〜………」


パチリと、ガイの目の焦点があう。


「………」

「…………」

「…やぁ、元気してる?」


どうにかして笑顔のままに、ガイは自分を見下ろす四聖獣の長ともいうべき存在に手を振って見せた。
青と赤のオッドアイを持つ青龍のゴウは、わざと大袈裟な溜め息を漏らしながら口を開いた。


「ったく…時間になっても来ないからわざわざ迎えに来てみれば」

「…それって、俺の心配してくれたー、とか?」

「この馬鹿者が!」


少し大き目の声に、ガイはピクリと肩を震わせる。
その様子を眺めながら、ゴウは嘆息しガイの隣に腰をおろす。

「お前という奴は……どうせこの天気の良さに修行が面倒になったんだろ?」

いきなり図星をつかれて、ガイは唇を尖らしながら別に、と答える。
とはいってもそんな嘘、最初から通じるわけもなく、軽く頭を叩(はた)かれた。



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