□切なさ感じて
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この世界・メルヘブンを守る為、今、あたしたちはチェスと戦っている。

13人のナイト級(クラス)---筆頭はあのファントムである---だけでも厄介なのに。

あたしたちは、たったの8人。
---あのヒゲは一人と数えていいのかは分からないけど。




ふと気付く6のお題
切なさ 感じて





なんて辛いのだろうか。
なんて大変なのだろうか。

それ以上に、彼女の---クイーンの正体が気になってしまう。
もし、本当に貴女だったとしたら、あたしは---。



「やっほ、ドロシーちゃん」

急にハイテンションで現れたのは、長髪の男。
盗賊ギルド・ルベリアのボス、ナナシ。


「何よ…今考え事してるんだから放っておいて」

「んーー物事に耽ってる美女は、いつ見ても美しーなぁ」

「あのねぇ………」


今までのシリアスな思考が吹き飛んでしまう。
このお気楽人は一体何処までが本気で嘘なのか、未だにわからない。
わかりたくもないが。


「にしても…本当にどーしたんや、ドロシーちゃん」

「…え?」

「なーんか最近思い詰めてるみたいに怖い顔、しとるやろ?」

「そう?」

「しとるよ。自分はドロシーちゃんラヴな人間やぞ。当たり前やないか」


正直驚いた。
ここまであたしのポーカーフェイスを見破るだなんて。
今まで気付かれたこともないし。
もしかして、あたし…。


「あたし、そんなに顔に出てた?」

「そやなー……あんま変わってないようにも見えたけどな〜」

「じゃあなんで」

「言ったろ?自分はドロシーちゃんラヴ人間だって」



不覚にも見入る。

(こいつ、意外に…)

人のこと、見てる。
そういえば、こんな女好きでも、ルベリアの奴等はナナシを慕っている。
実力がある、だけではリーダーにはなれないだろう。
もちろん
酒に女に弱い点はあるけど。

それが、あたしと同じように、何もかも---。


と、そこまでを考えて、思い切り頭を振った。

ダメだ、と。
ダメだ。
ダメだ。
ダメだ。
ダメだ、と。

これ以上踏み込んでも、踏み込ませてもダメ。



お願いだから、心に触れないで。

嫌になる。
悲しくなる。
苦しくなる。
切なくなる。

いつか別れの時がくる。
もう負の感情を抱えるのは嫌。


これ以上

これ以上---。



「ドロシーちゃん」



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