□助けより労りがほしい
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熱の持たない、生き物を殺すための道具。

それを小さく抱くように、カイはただその眼前の男の顔を睨んだ。



ふと気付く6のお題
助け よ り 労り が ほしい





「なんだ」

「俺も行く。ってか行かせろ!」

「だめだ。お前はまだここにいろ」

「お前も一緒なんだろ。いいじゃねぇか!」

「………」


なぜそこで考えるのだろうか。
カイは一瞬そのことに間をあけたが、すぐに口を動かした。


「デヴィット!!」

「だめだと言ったらだめだ!」

「なんでだよ!」

「………」

「言いたくねぇ、ってか?………要は俺は邪魔なんだろ、なぁ」


吐き捨てるように、自分で自分を落とした。
邪魔、というか、足手まといであることは自覚している。
弱い、ということも分かっている。
だからといってそれを表に出すことは出来ない。
したくない、とプライドが騒いでいる。


「それくらい俺だって知ってる!けどな、俺は…」

「お前を守ってやる、と約束した。お前を危険にはさらすことは出来ない」

「約束だとか義務だとかで守られたって嬉しくとも何ともねぇよ。むしろムカツクんだよ、そんなの」


好きなのに。大好きなのに。
約束、義務という関係なんか、ただ薄いだけ。空しいだけ。

舌打ちして、視線を外す。
カイは手近なソファーに腰を下ろすと、重たいため息を吐いた。
皺の寄る眉間に苛立ちが溢れている。


「カイ」

「……なんだよ」

「約束、義務。それだけでお前を守れなどしない」

「は?」

「命を張ってまで、守ろうとは思わない。お前との、今の関係性含めてな」



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