題
□言葉に託した想い
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口うるさい官吏の目を掻い潜り。
国のトップ2人は、関弓に下る。
行き違う二人の10のお題
言葉に 託した 想い
気付かれぬように海岸へ出れば、少年と男はようやく一息つく。
会話もなく二人は気持ちの良い、その潮風に当たっていた。
「豊かに、なったな…」
「俺のおかげ、だろう?」
「…こんな王でも500年もっちまうんだからな。天命って何なのか考えちまう」
「選んだのはお前だろう」
青年---王・尚隆は笑う。
嫌な顔を隠そうとしない少年---聖獣・麒麟の六太は顔をしかめた。
やがて気付いたかのように手を叩いた。
「そうか。王が偉いのではなく、支えている官吏が偉くて凄いんだな」
「残念ながら、優秀の官吏の中には、我が国の麒麟である宰輔は入らないらしい」
「はぁ?!」
「こうやって共に政務を逃げているのだから、同罪だ」
「…確かに」
もう今更なことだがな、と尚隆は笑い、六太の頭をポンポンと叩いた。
そうだ今更なことだ、と六太も同意して頭に巻いた布を整えた。
「時に六太よ。俺はお前にいつ、国を還せば良い?」
「…何だよいきなり」
「ふと思っただけだ」
尚隆の視線は海を向いたまま。
生まれ育った、瀬戸内の海を思い出しているのだろうか。
それでこんな会話なのだろうか。
六他は眉をひそめた。
望む国。
還そう。
忘れたくても忘れられない。
それは六太の純粋な願い、麒麟としての当然の願い。
500年前に交わされた言葉のひとつ。
「そう、か…」
生飽きるのはいつだろうか。
500年も神籍にいればそれも嫌になって、寿命のある人に戻る。
それに例外はないだろう。
あんなに親しかった三官吏と呼ばれた彼らも、今では一人だ。
それを、王と麒麟は責められるはずもなく。