インフィニット・空我・ストラトス

□福音
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林間学校初日の夕食は、旅館のすぐ近くで採れた魚をふんだんに使用した刺身や煮付け等、旅館ならではのメニューだ。
宴会場には、床で座っての食文化が無い国出身の生徒様に椅子とテーブルまで用意されている。中には正座が無理だという女子生徒などが居る。

輝羅「…美味い。決め手は柚子胡椒か?」

一夏「って、おいシャル!」

一夏の声に反応した俺は……山葵の山を丸々食べ、鼻を押さえて悶えているシャルロットを見ていた。
刺身の山葵は切り身にチョンッと乗せて醤油に付けて食べるのが一般的だそうだ。また醤油皿に山葵を入れるパターンもあるのだが、まぁいいや。

一夏「シャルロット…大丈夫か?」

輝羅「……山葵の御味は如何でしょうか?」

シャルロット「風味があって美味しいよぉ……」

シャルロットさん。涙目でのコメント、ありがとうございます。
一夏を挟んだその隣には、正座に慣れないのか足の痺れと格闘中のセシリアが小さく悶えていた。それに気が付く一夏は足の痺れと相俟って箸が使いづらそうなセシリアに刺身を食べさせようとした。
刹那、俺と一夏に一部の女子が殺到した。いや、俺フリーじゃ無いんですけどね?

「あー、オルコットさんずるーいー!」

「織斑君、次私ね!」

「響君、お願い今やって!」

一夏「え、あーっと……どうしよう輝羅…?」

輝羅「お前なぁ……自分で蒔いた種だろ?」

落胆する俺だが、その瞬間一夏の背後の襖がバッと開くと織斑先生が立っていた。

千冬「織斑、節度を守れと言っていただろう?忘れたのか?」

一夏「はい…すみません」

千冬「お前達もだ。ここは学園ではなく公共の場だ。時と場所を弁えろ!」

それだけ言うとピシャッと襖を閉めた織斑先生。もしかして今も襖の向こうで立っているんだろうなぁと微かに思う俺。
視界の端に今も尚一夏を睨む箒の姿が見える。そういえばそろそろ箒の誕生日だったな。一夏の野郎忘れてなきゃ良いんだけど……、何セシリアに耳打ちしているんだこいつは。まさかとは思うが…まぁ良いや。




夕食後、セシリアは同室の女子達から追いはぎの様な被害を受けながらも、やっと一夏と千冬と輝羅が使用する部屋の前に到着する。
するとそこには、襖に耳を立てている箒、鈴音、ラウラ、シャルロットの姿が見えた。何をしているのか訪ねるが、彼女らは立てた人差し指を口に当てる。
何が何だか分からないセシリアは彼女らに倣う様に襖に耳を立てる。
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