Novel

□届いていますか
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俺、最低だ。
有糸に酷いこと言った。
家を出て行ったきり戻って来ない。
ホントに何やってんだろ。

「なに、菫ちゃん喧嘩?」

クラスメイトからそういわれるのは今日で約6回目。

誰と何て聞く奴も居ない。
そう、有糸とだ。

久しぶりに姉貴から電話が掛かってきて、深刻そうな声で相談された。

『私は、生きてる価値もないの…?』

酷く切羽詰った声で、泣きながらそればかりを繰り返していた。
それなのに、有糸の奴が俺に構って欲しいからか、電話の邪魔をするので、姉貴がもういいわと言って電話を切っていった。
何だか凄く腹が立って、思っても無い言葉を吐いてしまった。

「お前…最悪。お前なんか大嫌いだ!」

持っていた電話をソファに投げつけた。
そしてこの発言を聞いた有糸は泣きそうな顔で家を飛び出していった。

“もっと、わきまえある奴だと思ってた。今はお前より姉貴の方が大事なんだよ!”

ホント、何であんなこと言っちゃったんだろ。
優先順位なんかないはずなのに、何より有糸が大切なはずなのに、
口をついて出てきたのはそんな言葉。





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