Novel

□届いていますか
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嫌われたくない。
もう、前のように独りで居られるほど強くは無い。
菫が離れていったら、恐らく僕は簡単にこの命を投げ出すだろう。

気付いたら家を飛び出していた。
制服を着たまま、飛び出してきたため、明日学校にこのまま行っても問題はないだろう。

今日は帰りたくない、いや、帰れそうもない。
どのくらい、その場に留まっていたのか分からない。
徐々に顔を出し始めた朝日に顔を顰める。
その美しさに見惚れながらも、酷く悲しい思いに支配された。

涙がでそうになるのをある思いに塞き止められた。

“でも、やっぱり、菫のことが好きだ…。”

沈み込んだ心を奮い立たせ、
のろのろと歩き出す。
だが、足取りはいつにも増して重かった。
まるで、心の重りが足枷のように彼の歩く速度を鈍らせた。

そのまま学校に来たから外の寒さに熱を奪われ心はえぐられたように痛い。
心から冷え切っているようだ。

はぁと息を吐くと同時にこの気持ちも出て行ってはくれないだろうか?
彼にとって僕はなんでもない存在なのかもしれない。
もしかしたら僕なんかは、菫の中ではランク外だったりして。

僕にとったら菫は一番なのに…。

もういい、何も考えたくない。
そう思ったら体がぐらついて頭に靄がかかったようになった。





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