Novel

□ヒステリックブルー
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『たけちゃんの、め、へんだよー』
『あ、ほんと。いろがちがうー』
『へんなの、きもちわるー』

幼き日の思い出は、酷く残酷だ。
あの頃はカラーコンタクトなんて物がなかったから、常に髪の毛で左目を隠していた。
毎日浴びせられる心無い言葉。
それは、刃物となって俺の心を抉っていった。
無邪気に笑いながら指を差して、
まるで俺を黴菌扱い。

人と違う目の色をしている。
たったそれだけで、俺は悪者なんだろ?
だったら、誰も近づけないくらい悪者になってやろうと思った。

左右の目の色が違って生まれてきてしまった。
そんな俺の症例は、虹彩異色症という。

目の色が違うだけで、他は何にも変わらないのに。
それだけで、気味悪がられる。
この目だけで、いったい俺の何が分かるって言うんだ。

生まれつき全てにおいて色素が薄かった。
薄い眉は、元々強面だった俺の印象を更に悪くさせた。

見た目だけで判断されるなら、とカラコンを付けて、坊主にラインをいれた。
その行為が強がりだなんて誰一人気付くことなんてなく、ただただ第一印象は悪くなる一方。

俺は、既に悪役なんだから。
何をしたって、ヒーローなんかには、なれねぇんだ。

でも、菫は違った。
たまたまだけど、コンタクトをしていないところを見られた時があった。
それでも、あいつは引くこともなく、カッコイイじゃんと笑ってくれた。

初めて出来たダチだった。
そんな菫も最近じゃ恋人にぞっこんで、俺は一人置いてきぼり。
なんだか、少し寂しさを覚える。





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