Novel
□シグナルレッド
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空は不機嫌な鉛色。
今にも泣き出してしまいそうだ。
その日は猛と一緒に学校へ行こうと思った。
何故だか分からないけど。
その日は、やけに嫌な予感がした。
案の定、俺の予想は的中していた。
「てめぇら!!そこ並べ!一人ずつ殺していってやるよ」
「菫ちゃん…」
2−D組の教室からは、菫の怒り狂った声が廊下にまで響いていた。
「菫ちゃ〜ん、どした?」
勤めて呑気な声。
内心は、ハラハラしてたけど。
「アキ、猛を中に入れんな!」
その声に、俺より先に蜷川ちゃんが走って行った。
「…どした?珍しいじゃん。そんな怒るなんて」
菫は、黙ったまま教室内の掲示板を指差した。
そこには、猛の写真が貼ってあった。
猛の写真の下には、キモイとか、
猛を中傷するような言葉が書かれていた。
俺も、久しぶりにプッチンきちゃって、
教室内で猛の写真を見て笑ってた奴らを、全員殺してやろうかと思った。
「これ、貼ったの、だ〜れ?」
俺のおどけた言葉は、教室内の全員を黙らせた。
顔はまったくもって、笑っていない。
こんな顔するの何年ぶりかな?
「早くしないと、一人ずつ顔崩してくけど〜?」
「し、篠崎君たち!」
俺の殺意に、学級委員の仁科さんが震える声で答えた。
「そっか、ありがと〜。じゃ、約三名?アキちゃんと地獄ツアーにご案内〜」
俺の声に、菫がギリッと歯を鳴らしたのが聞こえた。
「す、菫ちゃん!都島君が…!」
嫌がる三人を教室から連れ出そうとしていると、蜷川ちゃんが走って着た。
「猛がどうした!?」
「…ハサミで、自分の目を…!!」
「…クソッ!!…アキ、お前も来い!!…そいつらは、後で始末する!!」
三人で全力疾走して、猛のいる美術室に辿り着いた。
そこには、左目から血を流し、
これだったら…皆俺のこと変だって思わない?
と聞いてくる。
なんで…!!
俺は、お前の目が好きだって言ったじゃん…!!
自分を傷付けてまで、周りに理解してもらうことかよ!?
俺だけじゃ駄目なの…?