Novel
□シグナルレッド
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教室に入ろうとしたら、蜷川に止められた。
でも、そんなことしたって無駄。
もう、聞こえちまってっから。
『本当に目の色違うんだ。何か、気持ち悪いよね』
知ってるって。
そんなこと言われなくても。
全力疾走して美術室に入ってハサミを手にする。
迷わず、目を突いた。
けれど、僅かに狙いが反れて、目の淵に傷を作っただけだった。
生暖かい血が伝っていく感覚だけが妙にリアルだと思った。
勢いよくドアが開いて、蜷川が泣きそうな顔をしてた。
俺の目を見て、叫ぶようにして引き返して行った!
「待ってて!人呼んでくるから!!それ以上絶対傷付けないで!」
いつもは情けない顔の蜷川が切羽詰った顔で走っていった。
これ以上傷付けんなとか言われてもな…。
いっそ、目が見えなくなったらいいのに。
そしたら、これ以上軽蔑に染まった目を見ずに済む。
でも、七原の顔が見えなくなるのは嫌だな。
でも、耳が聞こえたらいい。
七原が好きだって言ってくれる声だけでいい。
蜷川が菫と七原を連れて戻ってきた。
「これだったら…皆俺のこと変だって思わない?」
怪我して、目の色が変になったんなら、
仕方ないって思ってくれる?