Novel
□カスタネット・リリィ
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こんな恰好恥ずかしすぎる。
少しばかり小さいサイズの体操服を着ながら、後悔と恥ずかしさに顔を上げられずにいた。
「うわ、かわい!!ね、俺どう?カッコイイ?」
白衣姿に伊達の黒縁眼鏡なんかまで掛けて、ニヤリと笑って見せた。
その格好で、その顔は反則だと思う。
徐に腕を引っ張られて、ベッドに座らされる。
「ねぇ、これから俺のこと先生って呼んで。あとー、プレイだから生徒になりきってネ」
爽やか過ぎる笑顔に恐怖心にも似た感情が湧き上がり、軽く身震いをした。
「深沢君、どこが痛いの?」
しいて言うなら頭が痛ぇ。
「うーん、ここかなぁ?」
なんて言って胸を弄ってきた。
何してんだコイツ!!
「ちょ…はるな!…や、やめ…」
俺、ちゃんと話せなくなるから止めてくれ、マジで。
「もー、先生って言ってって言ってるのにぃ」
そんな拗ねた声で言われても困る。
あ、とか言って俺から離れて行ったのにまた焦る。
どうしよ、また機嫌を損ねたのかも。
そう思って後を追おうとした時にパタパタと音をたてて戻ってきた。
「ローション買ってきたの忘れてた」
榛名は不気味なくらいにっこり笑ったかと思うと、ローションの蓋を開け、俺の顔を見たまま手に持ったローションを傾けた。
まるで、スローモーションの様に液体が体を汚していき、見る間に俺の体はローション塗れになった。
気持ち悪さと冷たさで顔を顰める。
ローションに濡れた体操着はピッタリと張り付いて、体のラインを嫌味な位際立たせた。
「いやー、いい眺め!超絶エロイ!!」
脱げなくなったらどうすんの?
そんな俺の思考なんかお構いなしに服の上から体を弄っている。
強弱を付けながら愛撫を与えられて、みっともない声が漏れた。
榛名は意地悪だと思う。
焦れた刺激を延々と繰り返して、俺が我慢できなくなるのを待っているように思う。
まだ理性の残っている頭で榛名を分析していると、今日は余裕だねなんて言いながら、クスクス笑っている。
俺だって、お前の余裕の無い顔が見てみたい。
だから柄にもなく煽ってみた。
「…センセ、俺…ここ痛い…」
未だ胸を弄っている榛名の手を取って窮屈そうにズボンの下から主張している自分の物を触らせた。
一瞬吃驚したような顔をした後に、『なに今の超かわいんだけど!!』と興奮している。
「深沢くん、それじゃ分からないよ。どこが痛いの?」
煽ったつもりが、自分の理性をただただ崩壊させただけの行為だったようにも思う。
「…も、焦らすな…!!」
榛名の変態回路に付き合ってやれるほどの余裕は俺にはなくて、また強請るように榛名に抱きついた。